第2話私

「柚って、真面目だよねぇ」


よく言われてきた言葉。

小さいころは、それで納得していた。褒められていると思っていた。でも、私が小学生の中学年くらいの頃からだんだん気づき始めた。

それは、嫌味も込められてるということを。


「そんなことしちゃだめだよ。先生も言ってたでしょ?」


先生。私がこれまで一番多く使っていたかもしれない言葉。

私がこう言う度、裏で色々いわれていることはわかっていた。

それでも、正しいことを言うと、気持ちがよかった。

ただ単に優越感に浸りたかっただけなのだと思う。


「偽善者」


そう言われる度思う。偽善の何がいけないんだって。だって、善は、善なんだから。悪いことをしている人より数倍マシなんじゃないかって。

それでも、そういうことを言われるのはやっぱり嫌だったし、正直気にしていた。そんな気持ちを抱えながら過ごしていた小学校生活は、なんだか常にもやもやしてい

て、あんまり楽しくなかった。

中学生になって、小学校のころから仲良くしていた友人と同じクラスになれた。私はこんな性格だったから、友達と呼べるような人は、クラスに2,3人くらいしかいなかったけれど休憩時間に好きなことについて話し合える人が中学校でも同じクラスなんて、とても嬉しかった。


でも、それは数か月前までの私だ。


いつも通っている橋の手すりから身を投げた私は、もう死んだのかな。それにしても、目の前は真っ暗で、ここがどこかすらわからない。死んでも意識って残るんだな・・・。

あれ・・?だんだん視界が明るくなってきた。真っ暗だった世界が、少しずつ明るくなっていく。

(ここは・・・?)



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