寒村に舞い降りたのはツグミ。越冬のため冬季に日本に飛来する鳥です。
全体的に黒味を帯びつつ褐色の羽が特徴的なスタイリッシュで凛々しい姿。
山深い環境、そして閉鎖的な人間関係に絡め取られた華たちは、知らずの内に互いを茨で拘束し合って、飛び立とうとする者を許さないのかもしれません。
誰も彼もが疑わしく思えてくるミステリーの面白さの部分はそのように感じました。
ストーリーが進行するごとに深部に潜り、周辺環境の視界が拓け出すことで、もし舞台モデルがあるならあの辺りかな〜、などと事件の本筋とは別の視点でも想像を膨らませて楽しむことが出来ました。
登場人物の名前にも注目してみて下さい。
一匹だけ熊が紛れてるのが面白いんですよ。
重大な発表の直前に起きた殺人事件。犯人は誰なのか……そして発表しようとしていた内容は何なのか。
久し振りに良いミステリーを読ませてもらいました。やはりミステリーはクローズドサークルものがいいですよね。
屋敷に集まった人間誰もが怪しく、その面々が織り成す物語はミステリーたる重々しさを醸し出しています。ほぼその一家と繋がりがない女の子主人公つぐみが奮闘し、友人達から助言をもらいながら犯人、そして一家の秘密を解き明かしていく。その姿は危なっかしくも最後は毅然と決めて見せます。カッコイイです。
ミステリー好きは一読の価値ありです。是非ご一読を。