第18話
「…事件のことは知っていますか?」
先につぐみから話を切り出した。
「ああ。なにしろ警察連中がいきなりここに泊まりに来たからね。ここの主人も奥さんも、二人揃って話してくれたよ。…しかも、どちらが漏らしたかのかは分からないが、サインを貰いに来た刑事もいてね。一見すると巨岩のような、熊のような…そんな男だから驚いたよ、あれは」
「はあ…」
巨岩か熊のような刑事、と言われて真っ先に思い浮かんだのが淡谷の顔である。そしてそれ以前に〝サイン〟という単語が気になった。
「あの、蓮花寺さんは有名な方なんですか?」
つぐみの質問に蓮花寺は僅かに眉を動かした。
「しまった…まあ、隠していてもいつかはバレるから先に言っておこう。俺はね〝巴屋緑青〟という名で作家をやっている」
「……ええっ!?」
つぐみは思わず立ち上がりそうになった。そして、頭の中はにわかに恐慌状態に陥る。
「と、巴屋緑青って私の友達もファンなんですよ! 作品のいくつかは映画化やドラマ化もされてて!」
「落ち着いてくれ、大した作家じゃないんだから。それより話が逸れてしまったな。事件は…確か鴉目家の藤子という人物が毒物で死亡、だった」
「あ…はい、そうです」
つぐみは興奮して心臓が早鐘を打つのを感じながら答えた。
「その毒は附子…つまりトリカブトだな。事前に聞いていた情報では、ここはトリカブトがよく群生しているそうだ。そして、烏丸家は戦前まで薬師をしていた。…毒を作るのは案外容易いだろう。むしろ、毒殺の舞台が整い過ぎている感じもするな」
蓮花寺は額を人差し指でトントンと叩く。
「そうですね…でも、薬を作っていたのは戦前までのことで、烏丸家の中で毒薬を作ることが出来るとしたら…その…翔太郎さんだけになってしまうんですけど…」
「それならば烏丸…翔太郎が犯人でもなんらおかしいことはないな」
「へっ!? でも、その翔太郎さんは無実なのに逮捕されそうになったから、
私を通じて蓮花寺さんに助けを求めたんですよ!?」
「そう。だがもしかすると、それ自体が演技で、君や俺を利用してミスリードさせ、自分の罪を別の誰かに被せようとしている可能性もある」
「そんな…! お友達じゃないんですか!?」
つぐみは蓮花寺の発言が信じられず、頭を振った。
「友人だから…それだけであいつが無実だと決められる証拠にはならない。これは信頼関係とは別なんだよ。事件…特に殺人事件で先入観や予断、私情は誤った結果を生み出してしまう。しかし逆に言えば、あいつが無実ではない、と決め付けることもまた出来ないということでもある。さて…ここからが本題だ。あいつが無実か否か。俺が知っていることだけでは判断できない。藤子さんが亡くなった日の詳しい状況や、烏丸家内の家族関係…君が知っていることを教えて欲しいんだ」
「…分かりました」
つぐみは、蓮花寺がひとまず翔太郎を見捨てないことが分かってホッとした。そしてそれから、つぐみが烏丸家を訪れてから事件後のこと、深花耶に指示されて調べた烏丸家のことや、藤子の違和感までを滔々(とうとう)と述べる。
その途中、和枝がそっと湯気の立ったほうじ茶と、茶菓子の栗羊羹を横からテーブルの上に置いた。つぐみはすかさず礼を言ったが、蓮花寺は何も言わず微動だにしなかった。オーナー夫妻はさりげなく、少し離れたソファーに座って自分たちも茶を飲みながら、つぐみと蓮花寺の様子を窺っていた。
つぐみが話し終えると、蓮花寺は大きく息を吐いた。
「…成程。烏丸家全員にアリバイがあり、かつ動機もある…だが翔太郎だけは、一つだけ違う点があるな」
「違う点?」
「ああ。あいつは七年前に烏丸家を出て大学の近くで一人暮らしをしている。しかも、盆正月にも帰っていなかったそうだ。
そこから考えられるのは、翔太郎が藤子さんを殺す動機が薄いということだ。七年間も接触していなかったのに、今になって腹いせとして殺すだろうか? もちろん、魔が差す…急に殺意が湧いたとも考えられないこともないが、あいつは藤子さんが亡くなる三日前に帰省している。ならば、その三日間で殺すチャンスなんていくらでもあるだろう」
「でも…それを考えてしまうと、他の皆さんにもいくらでもチャンスがあると思うんですけど…」
考えたくはないが、蓮花寺が言っていることを考えるとそうなってしまう。
「そう。だから、なぜ藤子さんは法要の日に、そして全員に集合を掛けた日に殺されたのかを考えなくてはならない。…逆に、そのときにしか殺すチャンスがなかった、と考えるべきかもしれない」
「そのときに…だけ…」
つぐみは繰り返して呟いた。
「話は変わるが、警察は藤子さんの体内と急須、湯呑み以外でトリカブトを発見できたのかい?」
「いえ…私が知っている限りではないです」
「ということは、トリカブトは藤子さんの殺害で全部使い切った可能性が高い。そうすれば証拠も隠滅できるからね。そしてもう一つ気になる点がある。藤子さんの笑顔の〝引き攣り〟だ」
「それは私も、友達も気になっていました」
「俺は門外漢だからもしかすると間違っているかもしれないが…それはトリカブトのせいだろうな」
「えっ!?」
つぐみと同時に、近くにいたオーナー夫妻までもが驚いて声を上げた。
「で、でもトリカブトって猛毒ですよね!? ちょっとでも口に入れると死んじゃうんじゃあ…」
「君の話の中で、藤子さんが亡くなる三日前、薬を飲んでいるところを見た人がいるだろう? あれは恐らくトリカブトだ。そしてもちろん、ちゃんと〝
「減毒?」
「読んで字の如く〝毒を減らす〟。トリカブトの場合、加熱することで猛毒から一転〝
その話は大広間で皆が集められ、梅野が死因を説明した際に翔太郎が話していた。
「もちろん、減毒には専門知識と熟練した技術が必要だ。話はまた変わるがつぐみ君、人を中傷するときの〝ブス〟という言葉の由来は知っているかい?」
「いえ…ただ、その〝附子〟と関係はありそうですね…」
「その通り。由来は〝附子〟だ。これは、この附子を摂取すると副作用、または後遺症により神経が侵され、痙攣を起こす。その状態は外目から見ると大層醜いものに見え、そこから顔の不出来さを馬鹿にする〝ブス〟という言葉が生まれた…という説がある。昔は男女どちらにも使われていたそうだが、歳月を経て特に女性だけを罵る言葉になったそうだ。酷い話だな」
蓮花寺はそこで鼻で笑った。口角は皮肉の笑みで少しだけ吊り上る。蓮花寺の表情が変化したのを見たのは初めてであり、その直後につぐみは蓮花寺が謂わんとしていることに気が付いた。
「まさか、藤子さんの顔が引き攣っていたのは…その漢方薬のせい?」
「そうだろうな。そしてそこで翔太郎だ。あいつは生薬を研究しているから減毒にも手馴れている。藤子さんが飲んだ薬を翔太郎が用意したものなら…。痙攣なんて起こさない筈だ。症状が収まるか、死ぬか…その二択になるだろう。つまり、その薬は知識こそあるものの技術が不十分な人間が作った薬だということだ」
「ああ!」
つぐみは思わず声を上げ、膝を手で打っていた。もちろん、オーナー夫妻も似たような反応を示す。だが、それだけではまだ事件の真相が判明したわけではない。蓮花寺の話は続く。
「さて…ここまでは良い。後は、誰がトリカブトを作ったか…だな。トリカブトは今採れないから事前に採取したものとして…。これは多分、烏丸家の歴史にも関係してくるのではないかと思うんだ」
「歴史…ですか。どうしてですか?」
「今回の事件は、藤子さんが皆に伝えようとしたことが自身の死に繋がってしまった。それは、過去から現在までの烏丸家の暗部が関係していると思うからだよ。
ご主人、ご主人なら外から見た烏丸家が分かるんじゃないですか?」
「へぇっ!? わしですかい!?」
突然指名されたオーナーは、素っ頓狂な声を出した。
「ええ。貴方のお父上はこの民宿を烏丸家から買ったのでしょう?
それに、先祖代々からこの村にいらっしゃるということは、ここにいる遠い親戚のつぐみ君よりも知っているでしょう。話していただけませんか、烏丸家の歴史を」
「へえ…分かりました」
オーナーはつぐみたちの隣の席まで来ると、ソファーを動かしてつぐみたちの方に向け、座った。和枝も一緒に来たが、特に誰も気にすることはなかった。
「身内の方に話すのも憚られるようなことだったり、爺様や親父からの口伝えなんで間違ってることもあるかもしれない、っつーことを前置きしておきますよ?」
「構いませんよ」
蓮花寺が答えた。オーナーは頷くと、話を始める。
「烏丸家の方々は、元々華族の地位であったそうです。ですが明治維新で身分を取っ払っちまおうってなったでしょう? それが原因で没落したんですよ。そして都落ちっつーんですかね、この村までやって来たんです。そんで烏丸家はこの村を開拓し、整え、いつの間にかこの村の長になってました。そこで問題は食い扶持です。元々貴族の烏丸家は、プライドのせいか百姓農民の真似事なんかしたくないってんで、この村によく生えているトリカブトに目を付けたんです。そしてそれから薬作りを生業とするようになって、ある意味この村の医者のような存在になりました。それが余計に烏丸家の地位を高める原因になりましてな。烏丸家の権力は絶大で、絶対のものになったんですわ。村の掟も烏丸家が作って、少しでも烏丸家の方々の気に障ることがあれば村八分。そりゃあ恐ろしい存在だったそうですわ。だから烏丸家の方々にぺこぺこ頭下げながらも心の中で嫌っておる村民は大勢おったそうで…。隙を見れば烏丸家の悪口大会ですわ」
「まるで絵に描いたような田舎の独裁者ですね」
蓮花寺は感想を述べる。つぐみも蓮花寺と同じ所感であった。
「はあ、まあそうですねえ…。そして厄介なことがもう一つありました。…烏丸家の女子は軒並み美しい方ばかりなんですよ。それでその女子たちに心奪われる男も多かった。
わざわざ山越して見に来る他の村の連中もいたくらいです。
そして、女子に惹かれた男の末路は二つ。気に入られて烏丸家の婿となるか、娘に手を出されて起こった当主に消されるかのどちらかですわ」
「消される、って…?」
「文字通りです。良くて村を追い出される。悪くて…拷問に掛けられたあとに風月川に浮かんでるか、だよ」
つぐみはオーナーの言葉に絶句した。真偽は定かではないが、それが真実ならば烏丸家は殺人に手を染めて来たということになる。つぐみの顔を見たオーナーははっとする。
「い、いや、これはあくまでも噂ですよ!? 烏丸家をよく思ってない連中が尾ヒレ葉ヒレ付けてるだけで、実際は村を追い出した、ってことだけかもしれねえ」
「…それはどうでしょうね。昔は食い扶持を減らす為、生きていく為に子供の間引きなどはよくありましたし、人身御供だってあります。家を守る為の今で言う〝名誉殺人〟も習慣として存在していた可能性は高いでしょう。もちろん、生きていくのに困っていない今の俺たちに、そんなことを糾弾する資格はない」
蓮花寺は何の感情もなく、また人差し指で額を叩きながらオーナーの言い分を否定した。オーナーは眉を八の字にして困りつつも、話を続ける。
「ま、まあ今となっては真実は分かりませんけどね。とにかく村人たちの間では、こんな暗黙のルールが出来たんですよ。〝烏丸の女には関わるな〟ってのがね」
それは先程和枝も、その前に茜も口にしていたことであった。
「ここで話は終わりたいとこなんですけど、まだありましてねえ…。これこそ噂でしかないんですけど…。烏丸家内部でも骨肉の争いがあったみたいなんですよ。よくあるお家騒動ってやつですかね。特に当主の座を巡る争いはえげつないとか…。ああそうだ、現当主の旦那さんが亡くなったときも、良くない噂があったな…」
「旦那さんって、昨日十三回忌法要があった良吉さんですか?」
つぐみはオーナーに尋ねる。
「ああ、そうだよ。あの人は自殺で片付けられたが、村人の間じゃあ未だに疑われてるんだよ、あの人の死は殺人だ、ってね。なんせ遺体が見つかったのが〝鳥無の森〟だ。あそこなら他殺死体を隠してもまず気付かれないからね」
「鳥無の森?」
どこかで耳にした単語である。
「お嬢さん、ここに来る途中、卵が腐ったような嫌な臭いがしたろ?」
「はい。あれって硫黄か硫化水素の臭いですよね?」
「そうそう、うちの宿から更に北に行くと、硫化水素が発生している地帯があってね。そこが〝鳥無の森〟と呼ばれているんだ。
硫化水素から発生する毒素のせいで鳥が一羽も近寄らずに、鳴き声が聞こえないから、というのが由来だそうで。そこからは湯も出ていてね、うちの宿の風呂はそこから湯を引いているんだよ」
「最初にこの宿に来たときは、臭いのキツさに嗅覚を失くしてしまいたいほどだったよ。もうすっかり慣れたけどね」
蓮花寺の言葉にオーナー夫妻は苦笑した。
「…でも、それなら自殺したい人にとっては…こう言っては何ですけど、格好の場所ですよね?」
つぐみは蓮花寺に構わず話を続ける。
「そうだねえ、確かにあそこで自殺を試みる人はいるんじゃないかな。ただ、死ぬまでに苦しむとは思うけど」
「硫化水素は人体に入り込むと目や鼻、喉の強烈な痛みに始まって、呼吸困難に陥り死亡する。最初の段階で辛いだろう。大抵の人間はすぐに死ぬことなんてどうでも良くなると思うけどね」
オーナーの話を蓮花寺が補足した。作家という職業のせいか、医学や化学にも詳しいらしい。
「そうそう、確か良吉さんは精神の病だったっけ? それが警察の中では自殺の決め手になったみたいですね。…良吉さんはまあ、自殺でもまだ納得できますけど、不可解なのは八年前に亡くなった百合子さんと忠治さん! あれは特に…忠治さんの死が怪しいとわしは今でも思ってるんですよ」
「撫子さんの旦那さんのねえ、遺体を見つけたのは…この人なんですよ…」
和枝はそう言ってオーナーを指差した。つぐみは目を大きく見開いた。
「ううっ…あれはもう見たくねえモンだなあ…。わしは川釣りが趣味でしてね、その遺体が見つかった日も釣りをしてたんですよ。そしたら、川のちょうど真ん中にある岩に、何かが引っ掛かってると思ってよく見たら…岩で頭打ってて、血が流れてて…。
はあ…それ以来怖くて釣りには行っていないんです」
「…撫子さんの旦那さん…忠治さんは頭を岩にぶつけたせいで亡くなったんですか?」
「そうみたいだねえ。流されて頭を岩にぶつけて、手には釣り竿が握られたままでね…。この人が見つけたのは死後一日経った遺体だそうなのよ」
夫に代わって和枝が答えた。やっと良吉と忠治が亡くなった状況が見えて来た。
「良吉さんに、百合子さんと忠治さん…特に良吉さんと忠治さんの死については、村の皆さんは不審に思っているんですね?」
つぐみは更に質問する。
「まあそうだねえ。そして今回の藤子さんの死だろ? そりゃあ警察だけじゃなく、あたしら村の人間もおかしいと思っているさ」
つぐみはそこで、藤子の部屋にあった文書の内容を思い出す。そして、深花耶の推理――ようやく、バラバラであった点と点が結びつき始める。そこへ、のしのしと茶色い毛玉がこちらへ足音も立てずに近付いて来た。先程まで篭の上でぐっすり眠っていた看板猫・みいこである。
みいこは何の躊躇いもなく、蓮花寺の膝の上に軽やかに飛び乗ると、ちゃっかりそのまま居座る。
「あら、みいこは本当に先生が好きねえ。この子、どっちかっていうと女の人の方が好きなんだけど」
和枝がその光景を見て微笑んだ。
蓮花寺はみいこの体を優しく撫でると、みいこは気持ち良さそうに目を細め、にゃあ、と小さく鳴いた。そのみいこを見る蓮花寺の顔が少しだけ柔らかくなっているように、つぐみには見えた。
「君の中でも、何となく真相が見えて来たんじゃないのかい? つぐみ君」
みいこを撫でながら蓮花寺が尋ねる。
「…はい。でも、問題はまだ残っているんです。藤子さんが皆さんに集合を掛けてから亡くなる前までの間、皆の行動はバラバラだったんです。だからアリバイって、ありそうで、実は無さそうなんですよね」
つぐみは自分の考えを述べた。すると、蓮花寺は真っ直ぐにつぐみを見つめる。蓮花寺の目付きは鋭く、見つめられるつぐみは嫌でも緊張してしまう。
「…中々に良い視点だね。確かに君の言う通りだ。では逆に、皆ではなく藤子さん一人がどうしていたかを思い出してみるとどうだろうか?」
「…昨晩藤子さんは藍ちゃんと話していて…その後に茜ちゃんが九時四十五分に藤子さんの部屋に行くと、藤子さんは眠っていた…。ということは、そのときまでには確実に藤子さんは生きていた…!」
「そう、そしてそのあとに藤子さんは死んだ。死亡推定時刻も大体それで一致する。それから君が大広間に入ったとき…君より先に入っていたのは妹夫婦と翔太郎。少なくとも君より先に入っていた人たちのアリバイは成立する」
「…じゃあ、私よりあとに入って来た人たちの中に、藤子さんを殺した人が!?」
つぐみよりあとに入って来たのは藍と茜、沢野と葉子であった。
「まあ落ち着いてくれよ。そのあとに入って来た人間に動機はあるのか。それを考えると娘二人は考えにくい。では沢野さんはと言えば、彼女は急須と湯呑みを藤子さんの部屋に届けた。でも、そのあとでも藤子さんは眠っていただけで、生きている。単に藤子さんが毒入りの茶を飲んでいないか、または…その時点で毒はまだ入っていないかのどちらかが考えられる。そして最後に当主の葉子さん。…彼女が一番分からないな。その人のアリバイだけは成立しているし、してもいないんだ。いや、そもそもアリバイなんて考えない方が良い。だろう。この事件でそんなものは多分、大した意味を成さないのかもしれない。藤子さんは結局、いつ死んでもおかしくない状況でもあったんだからね。…では次に、全員が集まった10時以降のことを考えてみよう。そこで違和感はなかったかい?」
蓮花寺に言われてつぐみは、大広間にいたときのことをつぶさに思い出してみる。そこにいたときのやり取り――つぐみははっとした。
「一つだけありました、違和感…」
「俺の推理では、その違和感こそが犯人に繋がると思う」
蓮花寺のその言葉で、つぐみは頭の中の靄が一気に晴れて、今度こそ点と点が線で結びついた。そして、その後は酷く悲しくなる。
「蓮花寺さん…私、この事件の真相がはっきりと見えたと思います。そしてこれは、12年前から…もしかすると、もっと昔から始まっていたことかもしれません…」
つぐみの言葉に蓮花寺は深く頷いた。傍で二人のやり取りを聞いていたオーナー夫妻は、話について行けずに呆然としていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます