2024年1月11日​──マカロニの可能性

 その日、中層調理場にフィーさんとお邪魔していたら……倉庫でちょっと珍しいものを見つけたんだ。



「……マカロニ?」



 のように見える、乾燥したパスタ。スパゲッティのような細長いあれではなく、貝殻とか穴あきとか蝶々のようなのとか。とにかく、いろんな種類のマカロニパスタが袋詰めにして入っていたんだけど?




「どした?」


「お?」



 フィーさんとイシャールさんもこっちに来てくださったので、僕は正直に言うことにした。



「ここにあるパスタって、使わないんですか?」



 聞いてみると、袋を覗いたイシャールさんは『ああ』と頷いた。



「魔術で腐りはしないが、調理しにくいんで使い道がなかったからな? なんか思いついたのか?」

「サラダとかグラタンとか、あとピッツァにも出来ますね」

「ピッツァに!?」



 フィーさんは僕のピッツァが大好きだから、作るとなったら手伝う気満々だろう。それなら、作ってみようじゃないか!



「けど、粉の生地に麺? 重たくねぇか?」

「ふふふ。イシャールさん、その方法もありますが」

「? おう?」

「今回はパスタを生地代わりにします!!」

「…………はぁ?」

「美味しいの?」



 使いますは、普通のマカロニとネジみたいなの。


 これを茹でて軽く粗熱を取り、天板へ敷いたクッキングシートの上に広げて……乾燥トマトを砕いたのや、ハーブと溶けにくいチーズを乗せ。


 あとは窯で焼くだけ。いい匂いが厨房に広がっていきますとも!



「……パッと見ピッツァだなあ?」



 焼き上がりを見たイシャールさんの反応に、ナイフでざっくり切り分けて食べていただきます!!



「……ん!?」

「はふはふ!」



 フィーさんも食べてくれる顔が、クロノさんそっくりの今でも可愛いや。イシャールさんは、何かピンと来たのか僕の方に振り返ってきて。



「カティア、さっき他の使い道もあるって言ってたな!? 作れるのか!?」



 ふふふ、マカロニの魅力に取り憑かれましたね?


 僕もだけど、もちもち濃厚なマカロニピッツァもいいけど……イシャールさんと協力したら作れそうなものがあったから。僕がピッツァの次に大好物なラザニアとか!!


 あとグラタンも美味しいから、違うマカロニで作ったんだけど……それが中層のバイキングメニューにも加わりましたとさ。


 いやはや、粉物の可能性は異世界でも通用するんだなあ!! 上層でもマリウスさんが感動して、時々ラザニアやグラタンの登場がありました!


 ブラボー僕!!


 ブラボー、お城の貯蔵庫!!


 これからもっともっと発掘していこう!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ピッツァに嘘はない! 今日は何の日? 櫛田こころ @kushida

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ