2022年1月7日​──無病息災な七草粥をば

 年が明けました。



「良いもの持ってきたわよ、カティ!!」



 去年の暮れにご懐妊されたファルミアさんが、四凶しきょうさん達に抱えられながら……お城にやって来られました。寒いのと、妊娠中は特に冷えが大敵だから服装はもっこもこ!!



「お久しぶりです。どうされたんですか??」

「ふゅぅ!」



 僕がクラウを抱っこしながら近づくと、ファルミアさんは持っていた紙袋を僕に差し出してきた。



「これをカティにもお裾分けしたくて」

「??」



 クラウを頭の上に乗せてから受け取れば、中身は葉っぱだらけ。だけど一部は大根とかぶ。


 と言うことは、だ!!



「七草粥ですか??」

「そうなの。私の実家くらいしか伝わっていなかったんだけど……是非、カティにも食べてもらいたくて」

「てことは、もうすぐ節句が??」

「と言うか、明日ね??」

「おぅふ」



 それはそれは大変。


 なので、ファルミアさんはすぐに帰ってしまったが……僕はフィーさんには事前に説明して、マリウスさんにも朝ご飯のメニュー変更をお願いしてから作らせていただくことに。



「どんなおかゆ??」

「各家庭で作り方は違うんですが。今回は歯応え重視でサラッと食べれる方法にします」



 僕個人としては、どろっとしたのが好きだけど……エディオスさん達は多分初めてだから食べやすさ重視にします。


 雑草にしか見えない葉っぱ達は、根の部分を切り分けてざく切り。


 スズシロ、スズナの大根とかぶは皮付きのまま薄切り。厚みを揃えて、大きさはいちょう切りくらいに。


 葉っぱも根元も食べれるから、食べやすい大きさにカット。



「食べれるの??」

「お野菜と一緒ですよ」

「ふゅぅ」



 次にお粥部分の準備。


 さっと洗って、水気を切った生米をたっぷりの水と一緒に鍋に入れて沸騰させる。


 沸く少し前の、あぶくが出る前になったらおたまで底を軽く剥がす程度にかき混ぜる。



「……これ結構面倒なおかゆだね?」

「どろっとしたのだと大雑把でいいんですが、今回は違うので」



 沸いてきたら火を弱め……そこにヴァスシード経由で手に入れた鰹節を、フィーさんに頼んで作っていただいたパックにたっぷり入れて鍋に。ここから中弱火でしばらく煮る。


 米が踊るようになっていたら大丈夫。


 かぶとかを、炊き上がる数分前に入れて火を通し……葉っぱとかは味付けした後に数十秒予熱で火を通すだけなので大丈夫。


 途中、鰹節パックを取ったり、味見を数回繰り返して……サラッと美味しそうな七草粥が出来上がった!!



「ふゅぅ??」



 クラウはお粥が初めてだから、スープのようにしか見えない七草粥を見て首を傾げた。



「これで出来上がりです!!」

「ふーん?? こう言うおかゆ」

「健康の維持や病気に罹りにくい願いを込めて食べるんです」

「じゃ、食べよ? お腹空いたー」



 神様だから、病気も二日酔いとかも無縁のフィーさんだけど、何だかんだ付き合ってくれている。それが嬉しく感じ、僕らは食堂に向かうことにした。


 七草粥はとっても美味しく出来て、エディオスさんもだけどフィーさんも気にいられて美味しい美味しいとおかわりしてくださいました。


 七草はお粥だけじゃないから、アレンジでフィーさんと協力すればカレーも出来る。


 それはファルミアさんにも教えようと決めて、僕は美味しく出来た七草粥を口に入れた。

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