2021年7月15日​──ばえるフルーツサンドイッチ

 夏です。


 暑いです!!



「さっぱりもいいけど、こってりしたものがたーべーたーいー!!」



 と、僕よりも先にフィーさんが言い出してしまいました。ただいま、セリカさんとのお勉強タイムが終わったところだった。



「さっぱりより?」

「こってり……ですか??」



 これまたちょっと難題を出されてしまいましたな?



「うん、けど……甘いもの!!」

「おやつ……ですか??」

「カティアのデザートピッツァでもいいからたーべーたーいー!!」

「今からですか??」



 個人的には冷たいものが食べたいんだけど、フィーさんがこう言うんだから作らないとなあ??


 生地の時間操作は、僕はまだまだ練習中だもんでフィーさんにやってもらわなきゃだし。



「あとねー? 出来れば、プアル使って欲しいんだー!! 神域で今収穫時期だったから!!」

「「おお!?」」



 あの食べるマンゴープリンのように美味しい果物!!


 フィーさんが一個だけ亜空間収納から出してきた、見た目はマンゴーのような神域特産の果物。コボティのディックさん達の大好物の果物だよね??



(けど、これ崩れやすいのが難点……なんだよね?)



 今はいいけど、皮を剥いたらふるふるプルプルになっちゃうから……デザートピッツァにすると崩れ落ちちゃいそう。


 似たもので違うような……。




『ねえ! ​───、あれ映えない?!』




 久しぶりにツッコミ親友の言葉を思い出したぞ?!


 たしかに、あれは見た目も可愛いし食べ応えがあるかもしれない!!



「フィーさん!! 以前ファルミアさんと作ったフルーツサンドは覚えていますか?」

「フルーツのサンドイッチ??」

「覚えているけど、これで??」

「このフルーツはピッツァにはちょっと不向きですし……こってりならカスタード入れますし少し冷たくして生クリームたっぷりで食べませんか??」

「「……美味しそう!!」」

「ふゅぅ?」



 とここで、クラウがお昼寝タイムから起き上がりました。



(セヴィルさんには、カラナ入りの生クリームを使えば多分食べられるし)



 LETS cooking?



 用意するのは、耳のない食パンに、セリカさんとフィーさんと手分けして準備した大量の生クリームにカスタード。


 あと、一個まるまる皮を剥いた状態のプアル達。



「このまま使うのー?」

「出来栄えを可愛くしたい理由もあります」

「「可愛く??」」



 まずパンの片面にカスタード。もう一枚には生クリーム。それぞれちょっと多めに盛ったら、プアルを丸ごと載せちゃって……挟む!!



「これを紙で包んで」



 半分に切ったら、綺麗なプアルの断面が見えるフルーツサンドの完成!!


 ラップはファルミアさんがいないから、紙で代用したわけです。



「おー!」


「綺麗……たしかに可愛いわ!」


「プアルだけでもいいですけど、アルグタとかプチカでも出来ます」


「ご用意致しますよ、カティアさん!!」



 今日はほとんど見学組だったマリウスさんがダッシュで貯蔵庫に行っちゃった……。



「アルグタ……? 丸ごと??」

「結構美味しいんだよ、セリカ? カティアが正しい食べ方を教えてくれたんだよ」

「そうなんですか?」



 と言うわけで、手分けして包んでからカッティングを繰り返し。


 仕上げに軽く冷却すれば完成であーる。



「今日のおやつお待たせ致しましたー!!」



 食堂に持って行くと、アナさんが『きゃー!!』と声を上げちゃいました。



「素敵ですわ、素敵ですわ!! この可愛らしいものはサンドイッチですの!!?」

「こりゃまた……」

「……食べ応えがありそうだな」



 ここでちょびっと成果と言いますか。


 だいぶ、セヴィルさんも甘いもの見てもげんなりはしなくなったんだよね??



「セヴィルさんには専用のカラナ入りのクリームを作りました」

「!……そうか。ありがとう」

「いえいえ」



 はい、そこ外野!?


 によによしないでいただきたい!!



「たーべよ、食べよ!!」



 フィーさんが待ちきれないので、席に着いてから僕はいただきますをした。味見はしてないけど、絶対美味しいはず。冷却でちょっと冷たいパンを手に持ち……フルーツサンド専門店顔負けの特大マンゴーのようなプアルを……ガブっと頬張る。


 柔らかいパン、こってりとさっぱりなクリーム達に冷え冷えの甘くてジューシーなマンゴー顔負けのプアル!!


 噛めば噛むほど果汁が溢れ出てきて……やめられない止まらない!!


 何度も何度も食べれちゃう!!



「うっめ!?」

「美味しゅうございますわ!!」

「うん! 美味しい!! こう言うの食べたかったんだー!!」

「なんだよ、フィーの提案か?」

「暑くてもうやってられないんだもん!」



 けど、フィーさんがいなきゃプアルは食べられなかったし、僕達にもありがたい話だけどね?


 ちなみに、セヴィルさんも激辛サンドイッチにしたお陰で全部完食してしまいました。他の果物のサンドイッチも美味しかったのと、女性料理人の皆さんが可愛いと中層や下層の食堂にも伝えてしまい……ティラミス以来の可愛くて美味しいデザートが広まってしまいましたとさ?

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