学校 5
輝は、目を覚ますと、まっすぐに町子のもとへ駆けよっていった。彼女は目を覚ますことができただろうか。ギリギリの状態だったが、救うことはできたのだろうか。
「輝」
アースが、輝の背中を押して、町子のほうへ誘った。
「よくやったな」
そう言って、笑いかけてくれた。町子を見ると、目を覚ましていた。
輝は、涙を流して自分を見てくれる町子がいとおしくて仕方がなかった。
その気持ちをどうやって伝えたらいいのか、分からなかった。ただ、町子の手を握って、男泣きするくらいしかできなかった。すると、フォーラがやってきて、輝の手を取り、その手を町子の頬に当ててやった。
「こうしてね、あとは、あなたの言いたいことをそのまま言えばいいわ」
輝の手に触れた町子の頬は、柔らかくて暖かかった。
輝は、一世一代の勇気を振り絞り、心臓が飛び出るほどにドキドキしながら、震える声で町子に言いたいことを言った。泣いていた、鼻水も出ていたかもしれない。とにかく、ぐちゃぐちゃな状態で、輝は町子にこう言った。
「町子のパイ、おいしかった。あんなにおいしいものこの世にないと思った。また、作ってほしい。町子、俺、もう君の作ったベーコンポテトパイしか受け付けないよ。だから、これからも、ずっと君を守らせてくれ。大切なんだ。大事なんだ。もう、町子しかいないと思うから。だから、聞いてくれ。俺は、町子が、好きだ」
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