第9話
今まで流黄鉄晶の事しか言ってなかったけど、その他の鉱石もあるよね?
クウェスンは、もちろんです。
と、答える。
ですが、とクウェスンは続ける。
1種類の鉱石は、ある土地でしか採掘できないんです。
そのせいで、この国が少し大変な事になってきているんです。
と、何やら恐ろしい事を。
何があったんだ。
とりあえず、それについて聞かせてもらおうか。
僕は、取り調べ中の刑事のような口調で言う。
あ、ふーい。
各地の宝石の採掘地で、悪という悪をはたらいた野郎達がいまして。
勿論、そういうやつらに対しては街側も対策をしていたんですけど。
そいつらは、何代にも渡って活動しているから、プロなんですよ。
そいつら襲われた街の採掘場は必ず破壊されるらしいんです。
具体的には、落盤、坑道の爆破とかで、再起不能になっちゃうらしくて...
結局、そこの街での鉱石の採掘は行われなくなるんです。
そんで、この国1番の被害とも言われているのが、最近あったんですよ。
それがね、この国で1番高価な鉱石の採掘地が襲われたんですよ。
だからね、その鉱石が今あるだけになっちゃってるんだ。
そんな感じなんです
そんなのがいたら、この国の鉱石無くなっちゃうんじゃないの。
ふと疑問に思ったから聞いてみる。
あ、そんな頻度であるわけじゃないんですよ。
と、クウェスン。
多くても5000日に1回くらいですかね。
あ、結構間開くんだね。
奴らは結構貴重な鉱石の採掘場ばかりを狙っていくんで...
回数が少なくても被害が甚大なんですよ。
その後、この国に生成される鉱石の種類を教えてもらった。
大まかに分けて、3種類に分けられるらしい。
まず1種類目が、生活に必要不可欠な鉱石。
地球でいうところの、鉄らへん。
2種類目が、松明とか生活を便利にするような鉱石。
3種類目が、100%自分の趣味でコレクションするような鉱石。
地球だったら、ダイヤ、ルビー、サファイヤあたりに相当する。
それと...
クウェスンが、
ああ、言い忘れてましたが生活に必要不可欠な鉱石だけは、5都市くらいで採掘できるんで。
と。
まぁ、要するに昔の人が大量に採掘できる鉱石を中心に、生活できるようにしていた。
と、いう事らしい。
3種類目の鉱石などについては、全くわかっている事がないらしい。
この星の科学は全然発達していないから、きっとそのせいだ。
とクウェスンは言う。
この星では、透き通っている物質は虚無に支配されている。
と言い伝えられている。
虚無とは、全てを飲み込んでしまう、といわれている。
だから皆、不吉がって触りたがらないそうだ。
一説によれば、それは昔の宗教らしきものがあった頃に遡るそうだ。
その昔、この星に流行った宗教らしきものがあった。
何故流行ったか。
それは詳しくは分からないらしい。
だが、それは団体でかなり加入数は多かったとか。
その宗教のトップらしき奴は、採掘場で働いているのを加入させたがっていたらい。
なぜか、それは簡単。
鉱石が欲しいから。
そしてその鉱石に紛れている、希少鉱石をゲットしたかったらしい。
そのために、定期的に掘った鉱石の一部を盗んで納めさせていた。
希少鉱石を何故集めるのか。
それは、この星の子供なら必ずしや知っているという童謡に答えが隠されている。
不思議なリズムだというその童謡には、「全ての実」たるものがでてくる。
ご丁寧にレシピまで歌詞にでてくる。
鉱石の妖精をすべて集めし時
天の雷が降り注ぎ
全ての実はできる
そして世界は再び創造される
全てを集めし者は支配者となり
その他の民を動かせるだろう
こんな、いかつい文章が歌詞に入っているのだ。
親から子へ。
受け継がれてきたが、そこで疑問を持つ者もいた。
その者たちは、皆試そうとしたが失敗に終わった。
まず鉱石の妖精、というものが分からないからだ。
鉱石の中心に「鉱石の魔法」と呼ばれる、鉱石の成分の純度がとても高い部分がある。
これの事かとも思われたが、どうやら近いがハズレらしい。
国王までもがこれに関心を示したらしい。
民に、「分かることがあるならば届け出よ」たる令を出したと。
これで「鉱石の妖精」が何か、という事が分かったのだが、またこれが大変らしい。
「鉱石の魔法」を握りこぶしほど集めた物だという。
採掘量が多い鉱石ならいいものの、1日の採掘量が指先くらいしかない鉱石なんかは地獄だ。
そもそも「鉱石の魔法」は、採掘された鉱石の1%ほどである。
希少鉱石は、気の遠くなるような時間がかかる。
それが分かったからには、とその宗教のトップは、早速始めたんだとか。
最後の「鉱石の妖精」が集まった頃にはもう、トップは何回も替わっていた。
それだけ時間がかかった、という事だ。
ついに、「全ての実」が完成する時がきた。
結果は...大失敗だった。
歌の通りに、天からの雷が降り注いだ。
それで全員死んでしまった。
全てを手に入れることなど不可能だ、という事を現していた。
のちに、近くにいたが奇跡的に助かった者の話によると、「全ての実」は、透き通った青色をしていたらしい。
ここから、透き通っている物質は、不吉がられるようになったという。
恐ろしいものだ。
地球にも逸話、というのはあるが、こんなにも恐ろしいものはあるだろうか。
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