第8話
武器屋を探すのはいいんだけど...
1つ厄介なことが。
武器屋の周りって、危ないヤツ多くない?
例えば、背中に背負うくらい大きい刀をもっといるヤツがいるし。
それに掌に小刀仕込んでるヤツもいるし。
まったく、危なすぎる。
厄介ごとだけには巻き込まれないようにしないといけないな。
そう固く決心し、僕は舟を進める。
カンカンと音が音がする店が多い所に来てしまった。
なんだろうか。
とても気になる。
気になり過ぎるから、店に入ってみる。
おや、店主の奥に何か水車っぽいのが。
水車、カンカン音、とくればやはりあれしかないだろう。
ゲームだと頑固おやじがやっているイメージしかない。
そう、鍛冶屋だ。
いやぁ、なんかどんどんゲームチックになってきている気がする。
鉱石商で少し稼いだら、ゲームみたいなことをしてもいいのではないか。
帰ったらクウェスンに相談してみよう。
鍛冶屋の中は、薄暗く全体的にちょっと黒っぽい感じがする。
あれか、煤とかかな。
奥を見てみると、ハンマーで赤いのを叩いてる。
少し叩いて熱する為に何かに入れるのかと思ったが違うようだ。
その代わり、僕が見たことのあるモノが使われていた。
あれだ、クウェスンから買った水炭だ。
容器に入れて、そこに火がついていた。
ああやって使うのか。
それにしても、金属(らしきもの)を赤く出来るほどの火力とは。
炎の大きさは、地球の蝋燭と同じくらいのはずなのだが。
一体何度くらいになっているのだろう。
それと、どのくらいの時間燃えていられるのだろうか。
鍛冶屋で使われているぐらいだから、少しの量でも長時間燃えるのか。
そこらへんが分かれば、今後役に立つだろう。
そんな想像全開だったが、他のお客にぶつかってしまった。
錆びているようだったが、短剣を持っていたので逃げようとした。
しかし、ぶつかったガタイのいいヤツが僕の肩を掴む。
面倒ごとは避けたかったのにー。
という僕の心の中の叫びは勿論聞こえる訳もなく、僕は渋々と振り向いた。
すると、ヤツは笑って剣を指さし喋り始めた。
人に自慢したがるタイプなのか。
いるいる。こういう面倒くさいの。
そして僕は、理解できない言語で熱く語られる自慢を聞き流さなくてはいけなかった。
だりー。マジだりー。
ヤツが熱く語っている間、僕は鍛冶屋の中を観察した。
カンカン音は、水車の動力を使った機械チックなもんが出していた。
地球だと、風を送るふいごを動かしているが、星が変われば使い方も変わるらしい。
それと、水炭が置いてある容器の上は煤で真っ黒になっている。
氷柱みたいになっている所もあったり。
相当昔からやっているんだろうな、ここ。
何代にも渡って客と店の関係が続いているのだろう。
いいなあ、そんなの。憧れる。
などと考えている頃、ヤツはまだまだ熱く語っている途中だった。
早く終わらせてくんねーかなー。
僕はそう考え、ヤツの脇を物音1つたてずに逃げだすことに成功した。
あくまで鍛冶屋の水車が気になっただけであって、本当は武器屋に行きたいからだ。
早くせねば。
まだ、お腹は減ってないが、これ以上さっきみたいなヤツに絡まれたくない。
宿に帰ってのんびりするか。
宿に帰るには...どうすればいいんだ...
あれだけ迷わないようにしたのに。
まあ、迷ったのは仕方ない。
地道に帰り方を探します...
ひたすら、記憶にある街並みに出るまで舟で移動し続ける。
もう面倒くさすぎる。
なんとか宿に無事生還することが出来た。
途中で変なヤツに絡まれないようにするのに精神をすり減らした。
精神・肉体共にヘトヘトだ。
はやくベッドで横になってうだうだしていよう。
最初からこうしていれば良かったのか。
僕は今更だが、少し後悔した。
まあ、いいもん見れたしいいかな。
結局僕にできることはあまり無いようだ。
こ、言葉が通じないししょうがないよね。
さて、そろそろ僕も何か暇つぶしになるものを見つけないと。
暇すぎてどうかしそうだ。
精神的にちょっと...あれなんで。
そんなことを考えているうちに、睡魔が襲ってきた。
本当に何か見つけないとなぁ。
ウトウト...
コンコン。
ん、なんだろう。
これは...ドアのノックの音かな。
誰だろう。
僕は、意識が覚醒しないまま、ドアを開けに行く。
ガチャガチャ。
扉の向こうにいたのはクウェスンだった。
...
そういえば、地図を買いに行くとか言ってたっけな。
おかえり。
ふーい。
とりあえずクウェスンを部屋に入れる。
買ってきた地図を広げる。
ばさばさ。
いや、意外と大きくない?
縮尺がの関係なのか、ただ単に国が大きいのか。
それにしても...
マジかよ。ここから選ぶのか。
もうこれは秘技を使うしかない。
秘技、目つぶり指落としッ。
(目つぶし・踵落としではないのであしからず)
ピタっ。
さあ、どこだ。
僕たちはどこに行けばいいんだ。
えっと、「鉱石の光」という意味をもつ街ですね。
とクウェスン。
という事は、鉱山都市チックなところか。
そうですね。そうクウェスンは頷いて続ける。
「鉱石の光」は、地下にある都市なのでちょっと行き方が特殊なんですよね。
高水路ってのも十分特殊だとは思うのだが、いかがなものなのか。
あれとは比べ物にならないくらいなんで。
クウェスンがなんだか誇らしげに言う。
なんで誇らしがってんのかは知らないが、早く見てみたい。
しかし...宿に10日分のお金を払っているからなぁ。
その後、なんやかんやあり、僕はこの星の地理に少し詳しくなった。
そうだ、せっかくクウェスンがいるのだから聞きたいことを聞いておいてしまおう。
流黄鉄晶の使い道とかね。
そういえば、これから行こうとしている「鉱石の光」は鉱山都市だろう。
名前からして鉱石が沢山採掘されていそうな所に鉱石を売りに行って大丈夫なのか。
少し不安になってきた。
だが、もし売れなさそうだったら目的地を変更すればいいだけだろう。
うん、大丈夫だ。多分。
ああ、流黄鉄晶の使い道ですか。
ええと、確か舟のコーティングに使うんですよ。あれ。
ここの流黄鉄晶は、劣化しづらいってことで有名なんで。
と、頼もしいことをクウェスンは言うが、鉱山都市に通用するのか。
あ、それについては心配ご無用ですよ。
「鉱石の光」だと流黄鉄晶は採掘されてませんし。
どっと安心感が僕の心に押し寄せる。
いやー、よかったよかった。
それにしても最初にした舟のコーティングは、流黄鉄晶だったのか。
「流」ってつくけど、飯屋で話してた時は1つって言っていた気がするなぁ。
クウェスンにそこらへんはどうなっているのか、と聞く。
聞くことが多くてすまないと思う。
が、なにせ知らないことが多過ぎるのだ。
そこはクウェスンも理解しているだろうな。
あ、流黄鉄晶は水の中だと固体で、陸に出すと液体になるんだよー。
だから、舟のコーティングにはぴったりという事か。
次へ続く
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