第7話

 一見さんお断りチックな店でクウェスンが頼んだものとは...

鳥...みたいなヤツの丸揚げと完全な球体のなんかだった。

何かが何なのかかは知らない。

中までぎっしりなパンなのか、すっかすかなパン生地風船なのか。

なるべく前者であることを祈りつつ、クウェスンになんという品を頼んだのかを聞く。

トビウオの揚げ物とブラックル、という答えが返ってきた。

トビウオって...地球のより結構羽が進化しているようだ。

ブラックルとかいう品の方は、実は半分に切ってあるらしく店員が上部分を皿の端に置いた。

下部分にはゆげが立ち昇るオレンジ色の液体が入っていた。

クウェスンによると、ゆっくりスープを飲んでいくと飲み終わる頃にはブラックルにスープがしみていてうまいのだとか。

だから最初にかじろうとすると結構固く、歯が危ないらしい。

クレイジーフードですね、はい。

上半分は、下より軟らかめにになっていて揚げ物と食べるらしい。

下部分の実用性がすごい。

 これらは全て手で食べるようだ。

ではいただくとしようか。

まずはトビウオの揚げ物から。

サクッ。

おお、味付けが絶妙だ。おいしい。でもちょっと味が濃いかも。

ここでクウェスンからひと言。骨は食べれる、とのこと。

カルシウムたっぷり?

次は、ブラックルと揚げ物でいってみよう。

揚げ物は少し味が濃かったから丁度良くなるはずだ。

ブラックルを小さくちぎり、揚げ物と一緒に一口で。

うん、ハンバーガーにしたらおいしそう。

スープは少し甘く、つぶつぶが入っていた。

 しばし、僕とクウェスンは無言で食べていた。

 食べ終わると、自然とこの後の話になる。

僕は、どこの書店に行こうとか言い出すのかと思っていたが、違かった。

この先、お金どうします。


そっちかい。完全に裏を突かれたよ。

でも、とても切実な問題だ。

どうしようか。

何もしない限り増えないし。

何かをして旅の資金を増やすしかない。


僕とクウェスンは話し合ってみた。

クウェスンから出た案が1番いいんじゃないか、そういう結果になった。

その結果とは。

そうだ、商人やろう。

旅の資金を稼げるし、色んな所に行ける。

一石二鳥だ。

そうと決まったら、さっそく準備だ。

宿へ帰ろう。


管にはくれぐれも注意しt...ゴンッ!


 さて、まずは何を売るか、だね。

とクウェスンは切り出す。

じゃあここの名産品とかって何がある。

僕はクウェスンに聞く。

うーん。...流黄鉄晶っていう鉱石がこの星だと有名なんだよね。

原価はどれくらいなんだろう。

確か1つにつき僕の金貨20枚分らしい。

うむむ、そんなに買えないな。

最初は少なめで、儲けが増えてきたらもっと量を増やそう。


 という訳で、まずは本物を安く仕入れるためにいくつかの鉱石商に行くことにした。

と言っても、クウェスンも元は宝石商みたいなものだしそこらへんは詳しいのではないか。


 仕入れ先は解決したとして、次は移動先をどこにするかを決めないと。

なるべく大きい都市で露店をやって儲けるのがいいと思う。

そうクウェスンに伝えると、じゃあこっちで決めておくから。

と言われた。

まあ、これだけは任せっきりでもいいだろう。


 クウェスンは、行く都市までの地図を買ってくる、と言ってどっかへ行ってしまった。

じゃあ、僕は売り方でも考えるかな。

そう考え僕はベッドに横になった。

さて、どうしようか。

儲けをどうやって出すかを僕は考えていた。

そもそも流黄鉄晶って、どんな使い道があるんだろう。

そこを理解しないとダメな気がするが...

まあ、後でクウェスンに聞いてみよう。


 クウェスンいないとなんも出来んやん。

またクウェスンが帰ってくるまで待たなきゃいけないのか...


 暇だし、迷わない程度に出かけるか。

今まで飯屋と本屋にしか行ったことないからなあ。

もっと他の所にも行かないと。

鉱石商をし始めたら、全然暇ができないかもしれないからね。

今のうちに楽しんでおこうかな。


 武器屋とかってあるのかなあ。

唐突にそんなことを考えてしまった。

きっと来る時にしていたゲームのせいだろう。

でも男のロマンっつーかね、なんかゲームみたいなカッコいいのが見たい。

地球とは違ってそういうのも大丈夫なはず。

この星の何処かにそれで戦える所とかないのか。

そんな事はさておき、適当に進んでいけばどうにかなるんじゃないかな。

と考え、あてもなく、しかし道を覚えながら進む。


 せっかく鉱石商をするんだから、僕も少しは鉱石の現物くらいは見ておかないと。

と思い、宿の近くの宝石の通りにきた。

どこの店も地球とは違って、宝石がショーケースの中に入っていない。

こんな開放的な感じで大丈夫なのか。

盗まれたりしないのか。

そう思い少し観察していると、案の定、挙動不審な男が店先にやってきた。

今後のこともあるから、少し見習える防犯システムでもあるのかと見ていた。

すると男はやはり宝石が目当てだったらしく、周りを見回した後、宝石を握りしめ、何食わぬ顔でその場を去った。

いや、正確には去ろうとした。

しかし、その男の行為を見るなり、店主が腰にさしていた短剣を抜いた。

そして恐ろしいスピードで男との間合いを詰め、首筋に短剣を当てた。

店主は短剣を当てたまま、何かを男に言う。

男はおびえた顔で頷く。

話し終わると店主は、男の手から宝石をもぎ取った。

男は宝石を取られるや否や、舟で何処かへ逃げてしまった。

店主は再びゆり椅子に座り、目をつぶった。

ように見えた。

実は、こっそり見ているかもしれない。

 店主は人間ではないから推測だが、結構歳をとっているように見える。

それでいてあんなに速く動けるのか。

僕は感心した。

同時に、店主が短剣を持っているのなら武器屋があってもおかしくない。

と考えた。

 さて、1ついいものを見たところで、他の所にでも行くか。



 次へ続く












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