第5話

 財布を見つけたから、早めに行くとしようか。

今は2の6時頃らしい。

 今から夜ご飯を買いに行くわけだが、何にしようか。

クウェスンはもう行ったようだ。

早いな。あの人。

僕もさっさと行ってしまおう。


 宿の近くの角を曲がる。

僕がお肉を買った店はどこにあったっけな。

 でも、同じ所ばかりじゃなくていろんな所の食べ物を食べてみよう。

どんなもんか知りたいからね。


 ところでこの星の主食はなんだろう。

地球のパンみたいなヤツだといいなぁ。

でも、日本の炊き込みご飯みたいに主食に味がついている、というのも悪くはないだろう。

どちらか、と言われれば僕はご飯派だが。

果たしてどちらに近いのだろうか。

クウェスンに少しは聞いて来ればよかったかもしれない。


 さらに10分くらい後。

 すれ違う舟で食事をしているのを何回か見かけたのだが、必ず細長いパンっぽいのがのっていた。

得体のしれないどす黒いドロリとしたものにつけて食べているのも見た。

人気の店でもあるのだろうか。

自分の嗅覚と舟の流れに頼る。


 いや、頼る必要はなかった。

とても長い行列ができていたからだ。舟の。

いや、もう分かりやすすぎるでしょ。

はたしてこの行列の先に、黒いヤツとパンらしきものは売っているのだろうか。

確認はしないが、並んでみる。


 前を見ていると、普通にセットだけのをたのむ人(?)とトッピングみたいなのをのっけている人(?)いた。

面倒なことにはなりたくないから、普通のでいこうかな。


 待つことしばし。

たのんでもないのに勝手に店員がセットを渡された。

まぁ、代金は払わなくてはいけない。

銀貨を見せると、3本の指をたてられた。

3枚ということか。

とりあえず3枚のせて出すと速攻で回収されてしまった。

でしょうね。


 さっさと列から抜けてしまおう。

ブツが冷めないうちに宿に帰ってしまおう。

 いや。ダメだ。

飲み物がない。

のどが死んでしまう。

それは勘弁だ。


 隣の店をみると、コップに何かが入っているのを売っていた。

ちょっとオシャレ…?なのかな。


 しばし観察なり…


 結果。何種類か味があるらしい。

オレンジ色とエメラルドグリーン色と青色のヤツの3種類が。

自分的にオレンジ色のヤツがよさそうだな、と思う。

なんとなくおいしそう。(適当)


 購入。


 宿へ。


 まっすぐ帰ろうと自分では思っていのだが、無理なようだ。

地球でもそうだった。

 だからといって迷わないようにしなくては。

ここに来るまでの水路順は覚えているがこれ以上は危険かもしれない。

だが、危険を顧みない男。それがクラだ。


と、いうわけで。


本のようなものがたくさん並んでいる店の通りにやってきた。

僕に理解できる言語で書いてあるものなどあるのだろうか。


 ある店の軒先では、紙から棒人間が2体ムクリと起き上がり、パンチを繰り出しはじめた。

地球の飛び出す絵本の進化した版なのかな。

次元が違うような気もするけども。

そんな光景を見ながら、活字の本のコーナーらしき所に向かう。

 とても分厚い本から、薄い詩集みたいなやつまで数え切れないほどの本が天井近くまで積み上げられていた。

角に金属(らしきもの)のがついている高そうな本もあったりした。

 ちょうど自分の目線の棚にあった、1冊の本を抜き出しパラパラとめくってみる。

同じ所から書いたと思われる絵が、沢山載っていた。

だが、1つ気になることが。

段々と水が上がってきているように見えるのだ。

そこに描かれている建物も、徐々に水没していっているようだ。

最終的には描かれている建物は完全に水没してしまっている。

何枚か水没しきった建物の絵が続いた後、衝撃の絵がそこにはあった。

僕が今、見てきた街並みの建設途中の絵があったからだ。


要するに、この街は崩壊した街の上に建設されている、というのだ。


もっと知りたいが面倒くさそう。やっぱやーめよ。


宿に帰ることにしよう。

戻り方は覚えてる…はず。


 何とか無事に宿に帰還することができた。

 それにしても、クウェスンに聞きたいことができた。

クウェスンは帰っているだろうか。

もし、帰ってきていなかったら…食事を堪能するしかなかろう。


 カチャカチャと音をたてる鍵を取り出し、開錠。部屋にはいる。

買ってきたものをテーブルに置いてから、クウェスンの部屋へと出陣する。

コンコン。反応がない。

コンコンコンコン。反応なし。帰ってきていないようだ。

僕は、買ってきて部屋で食べることにしていたのだが、クウェスンはどうも違うらしい。

外で食べてきているようだ。

僕もそうすればよかったかもしれない。

とぼとぼと、自分の部屋へ撤退する。


 黒いドロッとしたヤツ、結構おいしいぞ。

貝が入っていたり、魚(らしきもの)が入っていたり。シーフード、といった感じか。

入っているいるヤツは得体がしれないが。


 なんかついてきたパンみたいなヤツは、意外ともちもちしていた。だが、味は無かった。

つけて食べるとおいしい。


げふっ。ご馳走様でした。

夜ご飯が終わってしまったから、クウェスンが帰ってくるまでやることがない。


ベッドに横になる。


 ザワザワと、話し声のようなものが聞こえる。


 おっと、昨日横になったまま寝てしまったようだ。

寝てしまったのなら、クウェスンは帰ってきているだろう。


 コンコン。扉をノックする。果たしてクウェスンは起きているだろうか。

起きていなかったら迷惑になってしまう。

ま、大丈夫だろう。

(寝起きドッキリよりタチが悪い。)


当然のごとく「うーん…何ですかねぇ。」という声が聞こえてくる。

すまないな、クウェスン。

だが、僕の好奇心にはかえられないのだよ。

ぎいい、と扉が開く。


目が寝てますよ?

これから質問しますけど大丈夫ですかね。

多分長くなると思いますよ。


クウェスンさん、質問に頑張って答えましょう!

次回もお楽しみに









 


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