第2話

 クラは、順調に星へ向かっていた。

だが、本人は寝ていた。疲れていたのだから。仕方ないだろう。

 その間もコンピューターは、働いていた。

 そして、星の大気圏に突入しようとしたぐらいの頃、クラは目を覚ました。

ごうごうと、宇宙船内はとてもうるさかった。

こんなに音がするのは大気圏突入の時くらいだな、と考える。

今は、コンピューターの自動操縦だが、手動だと不可能に近いだろう。

着陸時の衝撃を吸収するとか、色々と面倒だからだ。

いや、面倒というレベルではないかもしれない。

 そう考えていると着陸するから席に座れ、とコンピューターから指示される。

僕は、慌てて席につく。

衝撃吸収のために作られたので、これに座っていないと骨盤をやってしまうかもしれない。

 今まで無重力だったが急に足が下へ落ちる。久々の感覚だ。

無重力空間はずっといると筋肉が衰えてしまう。

そんなことがないように鍛えなくてはいけないのだが、僕はサボり癖がありやってない。

 だから、着陸しても2日間はトレーニングに充てたいと考えている。

はやくマーケットに行きたいのだが、筋肉が衰えてしまっては歩く事もできないだろう。

自業自得というのだろうか。

こんなところにツケがまわってくるとは。

 着陸10分前を知らせるアラームが鳴り渡る。

10分は案外長いものだ。

暇つぶしできるものがないからだろうが。

 寝てしまおうか。出来たらだが。

こんな状況で寝れる奴がいたら、見てみたいものだ。

 ゴウゴウ、という音が一段と大きくなった気がした。

そして、ボンッ、という音と共に大幅に減速した。

パラシュートが開いたのだろう。

次第に、地上の様子が分かってきた。

地球のヘリポートみたいなのが、あちらこちらにあった。

驚いたことに、建物で地表はおおわれているようだ。

 ひとまず、その中の1か所にお邪魔させて頂くことにしよう。(すみません、勝手に)

強度が分からないので、エンジンを逆噴射して衝撃を抑えるようにする。

 逆噴射を自動操縦の命令に入れる。

その瞬間、下から突き上げるような揺れがくる。

あとどのくらいなのだろうか。ディスプレイを覗き込む。

 あと1分、と表示されている。

じっくりと振動を楽しむとするか。


そして…

 コトリ...

  どうやら着いたようだ。

 でも...筋トレしないとね。


2日後。

 宇宙船の中から大気の成分を測定する。

二酸化炭素だらけだったら、呼吸できないからね。


さんぷんご。

 大気の成分は地球より少し酸素濃度が高いくらいで、大して成分は変わりなかった。

気温は20℃くらい。涼しめかな。


 くるくるくる。分厚い宇宙船の扉を1年ぶりに開く。

さすがに錆びてはいない。(いや、錆びてたら大問題だわ!)


まあ、とりあえず誰かさんの家の屋上に着陸した。記念すべき一歩だろうか。

 とりあえず下に降りたい。マーケット見たい。

何かチャポチャポと、液体の音(?)みたいなのがする。


 とりあえず、階段探し。降りたいですから。

まさかこの星の人(?)は、ジャンプ力が凄くて、階段いらないとか。(まさか…)

それにしても、穴ぐらいあるであろう。

踵でコツコツしてみる。どっか抜けないかな。(それは大惨事だ。)


 端っこの方に穴があった。(目ぇおかしいんか?)

下を見ると水がチャポチャポしてた。

いわゆる、舟屋、ってヤツだろうか。この建物は。

舟屋ってことは、ここは水上マーケットだろうか。


 船くれ。移動手段を僕にくれ。

そうしないと動けないから。

何のためにこの星にきたのか、という事になってしまいかねない。

水深は、分からないがとりあえず降りてみよう。


 ドッパーン

やってしまった。背中から落ちてしまった。(どうしたらそうなるのか。謎だ。)


 悲報。足がつかない。怖すぎる。


 必殺。立ち泳ぎ。(地味。)

訓練で少しだけやったけどもね。僕は泳ぎに自信がない。

だから、はやく陸に上がりたい。

寒いし、さ。うん。

水しぶきをあげながら泳ぐ。


 やっとのことで到着。

服がびしゃびしゃだ。

だが、不思議なことにすぐに服は乾いた。

なんだろう、特殊な化学物質でも空気中に含まれているのだろうか。

まぁ、ラッキーなことに変わりはない。

 屋上の広さから、だいたいの建物の広さが分かると思ったが、全く違かった。

明らかに壁が遠い。そして舟、と呼べるのかも定かではないぐらいのヤツが何艘も浮いている。

ここは、貸し舟(?)屋なのだろうか。

商売をするなら、もっと大きい舟が必要になるだろうから。

 1艘くらいなら、ばれないだろう。

という訳で拝借。

どうやら、手で漕ぐ式のヤツのようだ。

途端に筋力を心配してしまう。

何はともあれ、乗り込んで出航するとしよう。

(乗り込むのに苦労して、1艘ひっくり返してしまったのは黙っておきたい。)

 記念すべき1漕ぎ目。

スイー

意外と抵抗がなく遠くまで進んだ。

これなら大丈夫そうだ。


 壁の一部が崩れている所から外に出る。

そんなに眩しくはない。

当たり前だ。うん。


さぁ、どうなるクラ!

まだまだ続きます。

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