水記~失われし神の地を求めて~

@yoshipTp

第1話

 僕はクラだ。

 

 そして、宇宙飛行士だ。とある惑星探索の。

 僕は地球を出発して1年がたった。

とっくのとうにお楽しみは消えてしまった。退屈だらけの毎日だった。

無理を言って持ち込んだゲームも先月には全クリしたし…

1日の中でやることと言えば、地球の奴との交信と機器のメンテナンスくらいだ。

第一、その交信が5分だけなのだが。特別回線がもたないらしい。

交信係がニュースを教えてくれるのだが…最後までロクに聞けたためしがない。

パソコンをいじって何かできないかとも考えたが…失敗に終わった。

唐突のブルースクリーン。ある意味すごいぞ。それ。

そして、パソコンは諦めた。

メンテナンスをするしかない。神がそう告げている。

それに気付いた時から、俺は毎日メンテナンスをしている。

暇人かよ。ああ、暇人だとも。僕は暇人だよ。

昔、月まで行ったときは3日ぐらいだったか?たしかそのくらいだったらしい。

だがな、僕は違うのだよ。少なくとも3年はかかるらしいぞ。

まぁ、メンテナンスするだけで地球の僕の口座に給料がはいっている。と考えれば悪くはないだろう。

金銭的にはいいのだが、僕の精神的に非常によくない。

 という訳で、今、史上最高に暇になっている。

 宇宙は広すぎてやることがない。ただ星がきれいなだけ。

コールドスリープでもするか。

酸素発生機の寿命を減らすよりかはずっとマシだろう。

そうなったら…管制ルームに連絡するしかない。

明日まで待つか。それとも何か他の手段で強行突破するか。

男なら下を選ぶだろう。馬鹿だから。

 まあ、今日の朝(?)に次の日の通信の分のデータを使い、管制ルームに報告しといた。

だがな、コールドスリープにも欠点ぐらいあるものだよ。

消費電力がエグイのだ。

地球で説明を聞いた時は驚いた。

宇宙船のソーラーパネルで1日に発電できる量を超えていたからだった。

(1日あたりの消費電力が、だ。)

なんだよ、どう細工しろと。(しかも目にみえないものを!)

飴なら細工できるが。(飴細工できます。)

(誰が上手いこと言えと...)

まあ、打ち上げられた時から充電が開始されている蓄電池があるんだとさ。

そんな訳で(いや、どんな訳だよ)準備をして就寝。(三か月くらいのな)

永遠じゃないからな。安心しなされ。ではまた3か月後。



じりぃぃぃぃぃ。

バチッ。

 電…撃…

 これは緊急アラームかっ!

座学でしか聞いたことのない音だった。

ここで慌てると何をしでかすか分からない。(自分が)

すぐ冷静になる、というのも宇宙飛行士には必要だった。

アラームが鳴っている最中だが、人間も少しは行動をしなくてはいけない。

まずは、コールドスリープを解除する。

近くにあるパソコンのディスプレイが点滅しているように見えた。

点滅しているように見えたのは軌道計算の画面だった。

パソコンの本体の前を通る時、暖房のような温風を感じた。

パソコンがフル稼働してている証拠なのだろう。

こんなことは、今までは無かった。よほどの異常事態なのだろか。

ディスプレイをよく見ると、この宇宙船の位置と巨大な星があるようだ。

この星が進路にあるのか。

つまりこういうことだな。


この先に巨大星があるから進路変えるなりしろ。

何かしないと、星にぶつかるぞ。


という、コンピューターからの警告だった。

まぁ、発射されて初めての危機だから起こされてもしょうがないだろう。

 こんな時のためだか知らないが、手動操縦桿、たるものがこの宇宙船にはある。

らしい。

流石だな。こんな事態を想定しているなんてな。(想定していません。)

 だが、1つ難点が。恐ろしく操作が難しいのだ。

常に操縦桿を握っていないとどうなるか分かったもんじゃない。

しかしこの状況を長引かせると大変な事になりそうだ。

仕方なく、自動操縦から手動操縦に切り替える。

途端に、目の前の操縦桿が、ガクンと揺れる。

 そして、僕の視界には航路が表示される。ホログラムで。

この航路からなるべく外れないようにしなくてはいけない。

外れないように、せわしなくレバーやボタンを操る。(操るって…)


 すこしたってから、僕はさっきよけた星に行ってみたくなってしまった。

男の冒険心、というものだろうか。それとも男の性(さが)というものか。


 あぁ。もう後戻りはできない。

 と、言うのは今、星に向かっているからだ。

あの後、興奮とその場のノリで決めてしまったのだが。

 管制ルームには、コールドスリープは3か月間です。って、言っておいたし当分は発覚しないと思うが…


そもそも、星に行って何をするのか?

そう思うだろう。

 現代は便利な時代になった。だからこそできるのだろう。

それは、人間の言語が銀河のどこでも使えるというものだ。

何故かって?知らん。知る必要ないしね。うん。

それに、説明出来るとしても膨大な量になるだろうからね。

 だから、それを利用して異星探索をしてみるだけだ。(だけ、じゃねーよ…)

 なにせ、宇宙のどこかに超巨大マーケットがあるらしいからね。

死ぬまでに1回は行ってみたいんだ。宇宙飛行士としては。

そんなことを誰かが訓練中にほざいていた。

こりゃ、行くしかないでしょ。ねぇねぇ。

 何日もかけてじっくり見ていくのも楽しそうだし…

そこまで大きいとは保証されていない、いや、存在しているかも分からないが想像が広がる。

もしや、地下にも広がっているのではないか。(もはや暴走してるし)

 再び星に近づいたから、アラームが鳴り響く。

だが、もう覚悟は決めてしまっているので、目的地を「1番近い星」にする。

そして、自動操縦のボタンを押す。

 わずか、30分くらいの出来事だったが、とても疲れた。

また寝ることにしよう。星に着くまで。

僕は寝袋に潜り込み、どうかちゃんと到着しますように、と祈った。

たのんだぞ。コンピューターよ。君にかかっているのだから。


次はクラがマーケットに到着するぞ!

何をしでかしてくれるのか、お楽しみに!



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