初めての獣医さん。
ある日セキセイインコのチュン三郎が下痢をして、あまりご飯を食べなくなってしまったので、初めて獣医さんに連れて行くことに。
当時かなり人間界の言葉を発せれるようになっていたチュン三郎は、鳥カゴごと入れられた車の中で、
「あっち行こ!あっち行こ!」
「チュンちゃん怒ってる!」
…と大激怒。
獣医さんに着き、
待合室で待っている間も、
「あっち行って遊ぼ!」
「母さん!ちょっと散歩行って来る!」
「ちょっとお仕事行って来るね~」
と言っては大騒ぎ。
…相変わらず散歩も行った事ないし、無職のクセに職があるフリをしています。
その度にむむママに、
「今から先生に診てもらうんだから、遊びに行っちゃダメ。」
「チュンちゃんはお仕事してないでしょ。」
とたしなめられ、同じ待合室で待っている人達に『そのインコ、話せるんですか!?』とビックリされてしまう始末。
ひたすら大声でしゃべり続けるチュン三郎に、むむとむむママは恥ずかしくてたまりませんでした。
そしてついに診察室へと通され、診察開始。
「こんにちは~」との挨拶と共に診察室に入ってきた先生が、ものすごく優しそうな方だったので、ほっとしたのも束の間…
とにかくその先生の指を噛みまくるチュン三郎。
先生の手が自分の鳥カゴの中に入ると噛み、先生の指が少しでも自分の体に触れてしまうと奇声をあげながら噛みまくり、目を血走らせながら威嚇して、全然診察が進まない。
「…なんか、すみません…。」
チュン三郎の狂暴で奇怪すぎるその迷惑行動に、思わず小さくなってしまうむむとむむママに対して、「全然大丈夫ですよ~」と笑顔で答えながら、何故か診察室を出ていく獣医さん。
そして数秒後、
「はい、じゃあもう一度診察しますね~」
と言いながら帰って来た先生の右手には、
分厚い皮で出来た茶色のゴツい手袋が…
…先生、ソレ飼育員さんがフクロウや鷹なんかの猛禽類を手懐ける時にはめてるヤツですけど―――――!?
手のひらサイズの体長しかないクセに、すっかり獣医さんから「狂鳥扱い」されてしまったチュン三郎でしたとさ。
…先生、その節は本当に申し訳ありませんでした!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます