動物園のもぐもぐタイム。
友達と旅行に行った時の事。
むむも友達も動物が大好きなので、その地域で有名な動物園に行くことにしました。
その動物園では、園内を自由に動きまわっている亀やワラビーやフラミンゴの赤ちゃんなんかもいて、動物との距離感が近いのがとっても嬉しくてゲートをくぐった瞬間から二人のテンションはあがりまくり!
しかも園内の案内板には、
『もぐもぐタイム開催中!』
とのインフォメーションが。
このもぐもぐタイムというのは、開催時間や参加人数に制限がありますが、飼育員さん達のご指導のもと、実際に動物達にエサをあげる事ができるという、モフモフ好きには何ともたまらないイベントでした。
しかももぐもぐタイムの対象となる動物がとにかく魅力的!!
オーソドックスなヤギやモルモットから始まって、リスザル、レッサーパンダなどの珍しい動物に至るまで、とにかく可愛いモッフモフ達の名前で目白押し!!
…何ですか?ここは…
天国ですか?桃源郷ですか?
これは絶対参加でしょ――――――!!
そう意気込んだむむと友達は、まるで示し合わしたかのように、園内のガイドマップをその場でおっぴろげ、開催時間と場所を綿密にチェックし、プランを練りに練り上げました。
…そう、
全てはすべてのモフモフ達を
モグモグさせるその為に――――――…
実際にまわってみましたが、先にプランを立てていたおかげで、かなりスムーズにまわることが出来ました。
モルモットはキョトン顔で緑の草をモグモグ食べるし、ヤギはあげてもあげてもずっとモグモグしたがるし、リスザルに至っては肩に乗せてエサをモグモグ食べてくれました。
あぁ…幸せすぎる…。
…が、そんな幸せも束の間…
次々と動物達をモグモグさせて、その度に幸せを噛み締めていたむむ達に、突如としてある誤算が生まれてしまいました。
なんと一番の目玉だったレッサーパンダのもぐもぐタイムと、赤ちゃんライオンの抱っこ&記念撮影イベントが同時開催だったのです!
しかも2つの場所はかなり離れた場所なので、時間的にも2つ同時に参加するのは絶対に無理。
ルーラを使うか、どこでもドアを使うか、カイカイ!って唱えるしかありません。
仕方がなく、むむ達はレッサーパンダを諦め、赤ちゃんライオンを抱っこする事に。
赤ちゃんライオンは、ちょっとガタイのいい猫くらいの大きさなのに一丁前に『…グルル…』とか鳴いたりしてて超可愛かったです。
赤ちゃんライオンのイベントが終わった頃には、かなりの時間が経過していました。
「こんな時間になっちゃったから、もぐもぐタイムはあと一つしか行けないね。」
友達がマップを広げながらそう言いました。
「そっか!じゃあ早く行こ!
最後の動物って何だっけ…?」
赤ちゃんライオンとモフモフしてテンションがいまだ上がりっぱなしだったむむは、友達にそう尋ねました。
「最後の動物は…
…………
…………
…カバだね。」
…今までさんざん小動物とかだったのに、
一体何故…!?
それでもカバさんにエサをやれるチャンスなんてそうそうないので行ってみることに。
カバさんのもぐもぐタイムの参加者は、閉園時間も近かったせいか、むむ達の他に2名くらいしかいませんでした。
…今まで共にあらゆるモフモフ達を、一緒にモグモグさせてきたはずの同士達は一体どこへ…
明らかに小動物達のもぐもぐタイムの時に比べてカバさんの参加人数は少なすぎます。
そんな疑問を抱えながら迎えたカバさんのもぐもぐタイムは、誠に光栄な事にむむがトップバッターでした。
近くで見るカバさんはとても大きかったですが、目は優しくて、頻回にピロピロとさせているしっぽが何だかちょっと可愛かったです。
むむが恐る恐るカバさんに近づいていくと、飼育員さんが説明をして下さいました。
「はい、じゃあ今からカバさんがお口を大きく開けますからね~、コレであそこのエサをすくって、お口の中に入れてあげて下さいね~。」
そう言ってその飼育員さんがむむに手渡して来たのは…
土木作業で使うような
巨大なシャベルでした。
…コレ、2時間ドラマで
犯人が死体とか埋めるときに
使うヤツじゃんッッ!!
シャベルを手渡された瞬間、
そう思ったむむが固まっていると…
「はい。じゃあそのシャベルであそこのエサをカバさんのお口に入れてあげて下さいね。」
そう言ってニッコリと笑った飼育員さんが指差した方向には、猫車にこんもりと盛られたワラのような草の山が…
…なっ…なかなかの
重労働なんですケド―――――――ッッ!?
今までに使った事がないくらいの腕力を駆使して、ひたすら猫車からシャベルでカバさんのお口にエサを入れまくったむむは、
…いやコレ…『もぐもぐタイム』じゃなくて
『
…なんて思っていましたとさ。
いやはや飼育員さん、
本当に日々お疲れ様です!!
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