犬の名は。③


前の職場は、どうやら何故か

天然まったり男子が

やたらと集まる職場だったようで…。


別の部署にいたN君も、

それはもうかなりの逸材でした。


数年前の話。

毎年大きなホテルの会場を借りて行っている忘年会の司会を、N君が勤める事になりました。


普段の彼の天然っぷりから、何かしでかしやしないかと、みんなドキドキしながら彼の司会を見守っていましたが、意外にもN君の司会進行はスムーズで、その場を上手にまわしていました。


…これなら大丈夫だね。


みんながそれぞれそう安心しはじめた頃、N君が舞台の上でカラオケを歌う人の紹介をする際に事件は起こりました。


「え~…次の曲は、○○部署の○○さんが歌います。それでは聞いて下さい。


絢香で…


』です。」



…って、えぇ!?

そこは絢香の『』じゃないのん!?


会場中がざわつき始める事態に。


しっかし、あの人よく笑わずに

最後まで歌いきれたよなぁ…。


そんなほんわかN君とある日、

何気ない会話をしていた時の事。


むむが無類の犬好きであるという事を

N君に伝えると、


「僕もね~、昔に犬を飼ってたんだよ。

すごく慣れててね~、ものすごく可愛かったんだ~」


そう言って、ニコニコと笑うN君。


「へ~、可愛いね。

その犬の名前は何ていう名前だったの?」


そんな嬉しそうなN君の表情を見て、

むむが尋ねると、N君はこう答えました。



「名前は、シロだったね。



…全然白くなかったけど。」



…って、

白くなかったんかァ――――いッッ!!



ますますN君の言動が分からなくなった

むむ山むむすけでありましたとさ。


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