思い出のポケモンパン。


むむは高校時代、

ポケモンパンが大好きでな。


通学途中に休み時間か放課後に食べる用の

ポケモンパンを毎日コンビニに寄っては買っていた。


ちなみにむむはその当時、

別にポケモンが好きだったワケではない。


その当時はポケモンのゲームもした事なかったし、ポケモンのアニメもほとんど見たことがなかった。


それでもポケモンパンを買い続けていたのは多分周りのみんなもポケモンパンを好んで

買っていたからだと思う。


女子だけのクラスだったが、

その当時は密かにポケモンパンが流行っていたようだった。


ある日、学校に警察から電話が入ったと

先生から聞かされた。


『むむ山さん、駅で定期入れを落としたみたいだから、帰りに交番に取りに行きなさいね。』


どうやらむむが通学途中に落としてしまった定期入れを、どなたか親切なお方が拾って交番に届けてくれたようだ。


むむはドキドキしながら

先生に言われた通り、交番に定期入れを取りに行った。


すると警官の人が、奥からむむの定期入れを持って出て来てくれました。


「じゃあ、コレね。

一応本人のモノか確認しなくちゃいけないから今からこの定期入れの中身を全部出させてもらうからね。一緒に確認してね。」


そう優しく言った警官の方は、

むむの目の前で定期入れの中身を一つずつ

机に並べていきました。



定期…



学生証…



イケてない顔の証明写真…



ポケモンシール…



ポケモンシール…



ポケモンシール…



ポケモンシール…



ポケモンシール…



ポケモンシール…



そうです。


むむはポケモンパンを好んで食べていたものの、オマケでついてくるポケモンシールを

どうしたらいいのか分からなくて、ついつい毎回シールだけを定期入れの中にしまい込んでいたのです。


その数もはや数十枚。


定期入れからエンドレスに出てくる

無数のポケモンシールを一枚一枚

丁寧に机の上に並べ終えた警官の方は

言いました。


「えっと…これで全部かな?」


今ならば


『いいえ、ゲンガーが足りませんね。』


とか軽いジョークの一つも言えたでしょうが、思春期真っ只中なむむにとっては、

とにかく恥ずかしくて恥ずかしくて…


とりあえず必要な書類にサインだけして

逃げるように帰宅しました。


…にしてもわざわざ警官に届けて下さった方、本当にありがとうございました。


お礼はポケモンシール1割で

よろしかったでしょうか?


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