在りし日の大食い選手権。


むむが通っていた高校の近くには、

とても有名なカレー屋さんがありましてな。


期末テストや中間テストの最終日は

午前中で帰れていたので、

友達みんなでこのカレー屋さんに寄って

帰るのがいつしか日課となっていました。


その日もそのカレー屋さんは大賑わいで。


席が空くまで座って待っていると、

本棚に『大盛カレー成功者』と書かれた

アルバムが置いてあるのを見つけたむむ。


どうやらこのお店では大盛りのカレーを

制限時間に食べ終える事ができたら、

そのカレーの代金がタダになるという

サービスをしているらしい。


大盛カレーの見本をみてみたけど、

確かにかなりの量である。


どうやらこのアルバムには

見事この大盛カレーを食べぬいた猛者達の

勇姿が写っているようだった。


暇を持て余していたむむと友達は、

そのアルバムをそっとめくってみた。


すると、そこに写っていたのは…


見事に揃えられた丸刈り頭に、

とても見覚えのある制服を着た

男子生徒の姿だった。




「ねぇ…これって…」


「うん。ウチの野球部の人達だよね…?」




そう言ってむむ達は次々と

そのアルバムのページをめくっていった。


めくれどめくれど出てくる

ウチの野球部員達…。


しかもみんな何故か半笑いで

ピシッとの姿勢で写っている。


「なんかもっとピースとか

したらいいのにね…」


そんな事を思いながらむむ達は

次々とアルバムをめくっていきました。




半笑いの野球部員。



妙に真顔の野球部員。



見たことのある野球部員…。



比較的良く見る野球部員…。



多分きっと野球部員…。



体育祭の時に間違えて女子の列に並んでいた

野球部員もきちんと写っていた。



そしてエンドレスに続くかと思われた

その野球部員の写真達の

トリをつとめていたのは、


これらの野球部員達と全く同じように

半笑いでのポーズのまま

写真におさめられた



野球部の顧問の先生の姿だった。




「…ってか、何やってんの!?

○○先生ッッ!!」




そう先生の写真にツッコミながらも、

なんか大食い成功者の写真というより、

我が校の卒業アルバムを見せられているような気分にさせられてしまったむむ山むむすけ達でありましたとさ。





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