こいのぼりのお母さん。


数年前、むむが職場でこいのぼりの絵を

書いていた時のこと。


こいのぼりの絵はすんなりと仕上がったんだけど、いざ色を塗ろうとしてみると、はて。こいのぼりの色が分からない。


そこで近くにいたAちゃんに、


「こいのぼりのお母さんの色って

何色だっけ~?」


と何気なく聞いてみたら、

返ってきた答えがなんと…


「カラフル!!」


だったのでビックリ。


…え?

カラフルって何?


確かによく見れば

目の中とかは金色とか使ってて

確かにちょっとカラフルだったような…


でもそんなトコロを今こだわる…!?


もしかして質問の意味が

よく分からなかったのかな?


そう思ったむむはもう一度

Aちゃんに尋ねてみる事にしました。


「いやいや、お父さんのこいのぼりの色は

黒じゃん?でもお母さんの色は?」


するとAちゃんはこれまた

元気よくこう答えるのでした。


「カラフル!!」


…と。



いやいやだからカラフルって

何だよ。


全く理解できなかったむむが

怪訝そうな顔をしていると、


「だから、一番上にある

カラフルで長いヤツがお母さんですってば。…もしかしてむむ山サン、知らなかったんですかァ~?」


そう言ってニヤニヤと笑うAちゃん。


…いや、それって…


「ねぇもしかしてAちゃん、

ソレの事ゆってる?」


「何ですか?

って。」


あっけらかんと答えるAちゃん。




やっぱりか―――――ッッ!!




賢明な皆様であれば

もうお気づきの事でしょう。


そうです、彼女はこいのぼりの一番上にある

赤とか黄色とかで出来た長い布の事を

『お母さん』と言っていたようです。


「あはははっ。

『母は偉大だよ~?』って意味で

いろんな色を使って派手にしているのかと

思ってた。」


そう言って、てへぺろと言わんばかりの

笑顔を見せるAちゃん。


「…いやソレ、

もはやもう鯉の形すら成してないじゃん。」


まさかのAちゃんの想像力に

翻弄された、そんな昼下がりでしたとさ。


※ちなみにこいのぼりの歌によると、

お母さんは出稼ぎに出掛けていて

不在なんだそうです。(※諸説あり)


…それはそれでどうなのよ。



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