亀の卵
亀ってね、定期的に卵を産むんですよ。
はじめは武蔵(♂)と小次郎(♀)を
同じ容器の中で飼っていたので
当たり前かなって思ってたんですが、
不慮の事故で武蔵が亡くなってしまってからも、メスの小次郎ちゃんは変わらず
定期的に卵を産んでいました。
オスがいないので
もちろん無精卵です。
小次郎ちゃんが卵を産むたびに
むむのお母さんは言うのです。
「子供が産まれるワケじゃないんだから、
もう卵を産まなきゃいいのに…」
…と。
小次郎ちゃんは卵を産む為に、
産卵する数週間前から
ご飯を食べなくなります。
そんな小次郎ちゃんを見てお母さんは
「どうせ卵の中に子供はいないんだから
そこまでして卵を産まんでもいいのに。」
といつも呟きます。
それでも小次郎ちゃんは
定期的に卵を産むのです。
ご飯を食べるのを我慢して…
我慢して…
我慢して…
我慢して…
やっとこさ産卵を迎えた小次郎ちゃんは、
ご飯を我慢しまくった空腹感に耐えきれず、
すぐに自分が産んだばかりの卵を
すべて割って食べてしまうのです。
「…だからそこまでして卵を産むなって毎回言ってんだろ。」
小次郎ちゃんが食べてしまった卵の殻を
片付けながらお母さんはいつもため息を
ついているのでした。
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