そこにあるはずのモノがない恐怖


当時自転車通学だったむむは、

それはもうよく自転車を盗まれましてな。


鍵をかけていても、全然ダメで。


自転車の鍵をかけた上に、

タイヤにチェーン型の鍵を巻いていても、

むむの考える番号が単純すぎるのか

すぐに番号がバレてしまい

まずはチェーンの鍵だけ持って行かれる。


そしてチェーンの鍵がなくなった事で

明らかに防御力が下がってしまった自転車は

数日後には誰かに本体ごと持っていかれてしまう。


そういえば自転車本体がなくなる数日前にも

何故かサドルだけを盗まれた事があったっけ。


お父さんに

新品のサドルを買ってきてもらって、

新しいサドルに付け替えた直後に

まぁた自転車ごと盗まれちゃったモンだから

何だか盗まれた時の口惜しさが

例年の8割増し(当社比)じゃったわい。


そんなこんなで2台続けて

可愛い愛車じてんしゃ様を誘拐され

ブチ切れる両親を必死に説得したむむが

やっとこさ新たな

三代目チャリンコブラザーズを

我が家へとお迎えした数日後の事…。


むむはオヤツを買いに

チャリンコで近くのスーパーへと

やって来ました。


大好きなお菓子を沢山買って、

ルンルン気分でいざ表に出てみると


入り口近くに置いてあったハズの

むむの自転車が…ない。


確かに止めたハズなのに

見渡す限りどこにも…ない。


何度も自転車を盗まれたトラウマから

むむはすでにパニックです。


すぐに携帯で自分の親に連絡しようとした

まさにその時…


むむはある重大な事実に気がついたのです。


そう…

むむは『よく自転車を盗まれる子』である以前に、自分が『極度の方向音痴人間』であったという事に…。


そうです。

なんの事はない、

真実はいつも一つ。


あり得ないくらいの方向音痴であるむむは、

スーパーの二つある出入口の片方から入り、

買い物を済ませた後

自分で勝手に別の出口から出ておきながら

『自転車がない!』と

一人で騒いでいたのです。


幸い自転車はもう一つの入り口に

むむが止めた時のまま、

きちんと鎮座なされておりました。


なんでも泥棒のせいにしては

いけませんよね。


ちなみに、盗られた自転車のうちの1台は

数年後に川の中から

大量のゴミと共に発見されたと

警察の方から連絡があったので


『やっぱり自転車泥棒許すまじ!』


と心から思った

むむ山むむすけでしたとさ。


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