犬の名は。②


さて、

シバとキュンキュンを飼いはじめてから

しばらく経ったある日の事。


むむはある重大な事に気がつきました。


子犬の頃に『キュンキュン』と

鳴いていたから『キュンキュン』。


柴犬だから『シバ』。


…どれも名前が安直すぎて、

一つも格好よくないという事に。


本来なら『ミシェル』とか

『デイジー』とか『マーガレット』みたいな

オシャレで可愛い名前をつけて、優雅にご近所さんを散歩する予定だったのに、なんじゃこのヘンテコ名前な犬達は。


そう思ったむむはある日、

ウチに遊びに来ていた友達に向かって

我が家の犬を指差しながら言いました。


「今日からこの犬の名前は

【ブルースカイ】にするから。」


そう言って指をさされたのはシバです。


全身真っ茶色で、

一つも青い要素を持っていない

生粋の和犬に向かってまさかの英名

【ブルースカイ】です。


「ほんでこっちが【ミレー・シェン】。」

そう言って指をさされたのは、キュンキュンです。


キュンキュンに至っては

完全にむむの造語な上、

何故か名字まで発生しちゃってる始末。


「今度からこの子達の事は、

そう呼んでね~♪」


そう言ってむむは

友達を見送りました。


帰る間際に見せたその友達の

「??」な顔は

今でも忘れられませんが


でもその日から晴れて我が家の犬達は

カッコかわいい名前へと

生まれ変わったのです。


これで今度から

むむがうっかりリードを離して

彼らに逃げられてしまっても

今までのように


「シバー!!キュンキュンー!!

戻ってきてよぉぉぉ~!!」


なんていう恥ずかしい名前を

大声で連呼する必要なんてなくなる他、


もし万が一彼らに逃げられてしまっても

彼らの名前をオシャレに変える事で

縦横無尽に走り回る犬達の中央に立ち


「うふふ、おやめなさい。

ブルースカイ、ミレー・シェン。」


…とでも言っておけば、

むしろ逆に召喚獣を操る女神のように見えるるのではないかと。


そう企んでいたむむでしたが、

翌日からどうしても

『ミレー・シェン』という言葉が

出てこない。


そもそもその言葉自体が

むむがイントネーションの良さだけで

作り上げた造語なので

出てくるハズもありません。


しかもシバに至っては、

いくら【ブルースカイ】と連呼しようが

完全に無視です。


仕方がないので

翌日には『シバ』と『キュンキュン』に

戻っていました。


…今となれば

『シバ』を『シヴァ』に表記を変えるだけで

超カッコいい召喚獣になれるって事に

すぐに気がつくことが出来たんだケドね…


う~む…残念、残念。




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