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「・・・本当に?」

 あんなに目に見えて落ち込んでいたのに?

「はい。そりゃ、確かに残念でしたけど。綺麗で可愛くて喋りやすくて、一目惚れなんて久しぶりだったし」

 やっぱり一目惚れしてたんだ。

「でも、ミヨさんいい人でしたから」

 あんなにふざけた様に笑っていたのに?

「それにお店もミケさんの所みたいだし、また会えると思うんで」

「うん」

「残念だけど、良かったです」

「・・・うん」

「あ、言っときますけど、僕もノンケなんで。心配はいらないですよ?」

「え?」

 言われて気付く。俺はどんな表情をして訊いていたんだ?

「お友達になれたらいいなって思ったんで、大丈夫ですよ」

「そ、それならいいけど」

 斉藤君はいつもの笑顔で笑った。いらぬ心配だったようだ。

 ミヨだってあんな性格をしているが、いい子ではある。気遣いもちゃんと出来るし、自分の立場もわきまえている。ただちょっといたずらが好きなだけだ。これで斉藤君の交友関係が広がったのなら、それで良かったと思う。きっと俺なんかより人を見る目があるのだろう。女の子かそうじゃないかは分からなかったが。

ほ、と息を吐いた。いつのまにか俺は過保護になっていたのかもしれない。だって大切なかわいい斉藤君には傷ついて欲しくないから。

「斉藤君、もう一杯飲む?」

「じゃぁ、お言葉に甘えて、もう一杯」

 

 

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