第11日 冒険の始まりのようです。

「で。」


俺は切り出す。

「パーティー組むって言っても、他にあては無いんですか?二人だとキツいですよね。」

「................」

沈黙。そう言うことか。お前ら普通にあてないだろ。

「ま、まぁあれだ。探してくれ。」

「はいはい。」

ギルドに行けば、募集とかできそうだしな。てか、できないと困る。


「ところで。裁判の時も、さっきも。国王、俺の顔をじっと見てたんですけど何ですか?あれ。」

「あー。まだ話して無かったわよね。実はお父様は、人の嘘を見抜く能力を持っているのよ。」

「え、凄っ!」

え。じゃあ、俺が嘘ついて変なこといってたらバレて死刑だったんか。怖すぎる。

「まあ、これは王家の血を引くものはみんな持っているものなの。私も実は持ってるんだけど、まだ力が弱くてあんまり判断できないのよね。動揺してることぐらいしかわからないの。」

「そうなのか。」

じゃあ、それこそ本当に嘘とかつかなくて良かったな。と、思わず胸を撫で下ろしてしまった。


「そういえば。」


国王が切り出す。

「君の能力値を教えてくれないかね。エミールを任せる以上、少しでも君の事を知っておきたいのでね。」

「...............」

まずすぎる。俺の能力値ヤバイんだけど。

「お、お父様!実は、まだ能力値を測っていないらしくて。また今度にした方が良いと思います」

はぁ。エミールナイス。正直この能力値が知られると、色々めんどくさそうだ。やっぱパーティー組ませない。とか言われたら嫌だし。べ、別に俺がエミールと一緒にパーティー組みたい訳じゃないんだからね!本当なんだからね!

「それは仕方ないな。今度来たときに教えてくれ。」

「は、はい.......」

もうここには、二度と来ないわ。いや、来たくない。来れない。


「パーティー組んで冒険と言われても、そもそも生活をする家が無いんだよな~。」

「そうね。まずそれを探すところからしないといけないわね。」

「え?」

なぜ。俺とエミールが一緒に住む感じになってるの?

「お前は、ここがあるだろ。」

「え?何言っているの?パーティーなんだから、一緒に住むのでしょ?」

「まじですか。」

まあ、俺にとっては凄く嬉しいのだが。女の子と、どど、ど同棲なんて。やべ。凄く緊張してきた。


「うむ。それなら私が用意しよう。丁度ギルドの近くに、私が冒険者をしていたときに住んでいた家があるからな。」

「へ~。国王も冒険者やってたんですか。」

「もちろんだ。王族のものは、エミールぐらいの歳になると、冒険に出されるのだ。」

王族なんて一生遊んで暮らせるものかと思っていたけど、案外大変だな。


「さてと。そろそろ、ギルドに行ってパーティーメンバーの募集でもするか。」

「そうね。早い内にメンバーを整えておいた方が良いものね。」

「おぉ。そうか.......」

国王めっちゃ寂しそうだな。まあ、娘を冒険に出すのだからな、寂しくなるか。知らんけど。


「エ、エミール。」

「はい。お父様。」

「だ、大丈夫か?ご飯は食べたか?武器は持ったか?能力表は?着替えとか荷物とかは後で持っていかせるから。」

「だ、大丈夫です。お父様。」

おぅ。すげー焦っとる。これ1人になったら寂しさで死なないか心配だ。


「ふぅー。」

国王は少し落ち着いた様子だ。そう思うと、こっちを向いてきた。


「ヤツガタケ君も。エミールを任せたぞ。」

「任されました。」

正直王女と一緒に冒険など不安でしかない。俺は能力値が低いから役に立つどころか、足を引っ張るかもしれない。エミールが本当に危険な状況に陥った時、自分の命を危険に晒してまで彼女を守るという勇気が俺にあるのだろうか。


「じゃ、行くかエミール。」

「うん!」

こうして、俺らの冒険ははじまったのだ。

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