第10日 国王のようです。
「カイト君!」
裁判の後。俺はエミールの友人として丁重に扱われていた。なんなのこの差は。
「おうエミール。無事に帰ってこれたわ。てか、ほぼ100%お前のお父さんのおかげだけどな。」
本当にそうなんだよな~。あの人来なかったら俺、死んでたよ。確実に。
「ほんっとに良かったわ!お父様には、後でお礼をしないと。」
「あー。そのお父さんの事なんだが......」
俺がそう切り出すとエミールは、首をかしげてこう言った。
「友達を辞めろって言われたかしら?」
「いや。まだそこまでいってねーけど。」
まあ、どうせそうなるのかな。なんか、これからは娘にまとわりつくな的な。あれ?でも俺がまとわりついてた訳じゃなくね?
「まあ、あれだ。後で部屋に来いって言われたから。」
「そ、そうなの?お父様が初対面の時に何も言わないなんて珍しいわね。」
「そうなのか?」
「うん。今まで連れてきた人たちは、お父様に会った後2度と私に会いに来なかったわ。」
怖っえ~。よくもまあ、ここまで過保護になれんな。あの人。
「ま、まあそんなわけだから。準備ができたら行くぞ。」
「う、うん。ちょっと待っててもらえるかしら?」
「お、おう。」
そう言ってエミールは、走っていった。
あー。もう、行かなきゃならんのか。
うん。すげー緊張する。
コンコン!
「お父様!私です。エミールです。入ってもよろしいでしょうか?」
「あ!ついでにヤツガタケカイトも居ますです。はい。」
くっそ緊張する。言葉もなんかおかしいわ。
「おぉ!来たか入りたまえ。」
「失礼します......って、でか!」
部屋がばかでかい。中で2階になっていた。いやいや。あの動いてる本棚なに?どうやってんのあれ。
「よく来てくれた。ヤツガタケ君。君のことは少々娘から聞いているが、異国のものらしいな。」
「は!はい。まあ、そうですね。」
俺が答えると、裁判の時と同じように顔をじっと見てきた。だからなんなのそれ。
「ふむ。なるほどな。ヤツガタケ君は、エミールの事をどう思ってるのだ?」
「は、はい....どう、ですか。」
エミールと会ってから、今までの事を思い出す。ドラゴンに襲われているところを助けられ、その後町の案内までしてくれた。その時には奢ってくれたりもした。まあ、それを喜んでいたのは置いといて。それから、思うこと。
「そうですね.....彼女は、こんな見ず知らずの男を助けてくれ、親切にしてくれました。彼女が、ドラゴンを倒してくれなかったら。今、俺はいないでしょう。そんな彼女の事を俺は、恩人.....いや、友達だと思っています。」
「カイト君......」
おいこらエミール。照れるなよ。俺恥ずかしくなるでしょ。そして、相変わらず俺の顔をじっと見てくる国王。なんなの?ほんと。
「そうか...君はなぜ、エミールと友達になったんだ?」
「なぜ、ですか.......」
そして、俺はまた考える。なぜエミールと友達になったのかを。
「まあ、この世.....国に来たばっかりだったので、案内とかをしてくれる人が必要だったと言うこともありますが、何より彼女と友達になったら楽しそうだなと思ったので。まあ、友達になって欲しいと言ってきたのは彼女の方なんですけどね。」
そして、また国王は俺の顔を見る。もう、だいぶなれてきたわ。
「ふむ。なるほどな........エミールからか....よーし。決めたぞ!」
「うぉ。びっくりした。何ですか?」
「君にエミールを任せよう。」
「はい?」
どうゆうこと?
「実はな、そろそろエミールをパーティーに入れて、冒険に出したいと考えていてな。」
「はぁ。」
「そこで、君にパーティーを組んでもらいたいのだが。」
「はぁ。」
パーティーね。パーティーか。え?パーティー?冒険?異世界に来たときは冒険しようと思っていたけど、ステータスがわかった今、家事スキルでレストランでもやって、平和に過ごしたかったんだけど。
「カイト君!一緒にパーティーを組んでくれると嬉しいのだけれど.......」
エミールは、お願いをするような顔で少々遠慮ぎみに言ってきた。
うぅ。お前可愛いんだからそんな顔されると......
「はい!喜んで!」
思わず答えちゃうだろ。
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