第9日 裁判のようです。

「ここだ。入れ。」

「は、はい。」

遂に法廷に着いてしまった。てか、俺に弁護人いんのか?


ギィ~!

扉を開けるとなんか、人が一杯いて....

「お前くぁ~!この国の外交にヒビが入ったらどうすんだー!」

「そうだそうだ!こんなやつは、死刑にしちまえ~!」

色々叫んでいた。俺めっちゃ嫌われてますやん。正直怖すぎる。


ドンドン!

「静粛に!これより、被告人ヤツガタケカイトの裁判を開廷する!」

始まった始まった。本当にどうなるんだろうか?


「被告人は昨日、隣国の王子であるエドウィン・ファニル様を棒で殴ったあと、馬乗りになり何発も殴り重症を負わせました。これはこの国の外交に関わるだけではなく、争いの火種となる可能性もあります。よって、被告人の死刑を要求します。」

「ちょっ、まっ。」

え。めっちゃ捏造されてる。これだと、俺完全に死刑じゃね。

「弁護人。」

お、いたのか。頼むぞ。しっかり弁護してくれ。


「えー。彼は棒で殴ってはないと思います。」

「..............」

そんだけ!もっと、他に捏造されてるとこ無いのかよ。

「いや。王子の方から棒で殴ったと報告がありました。」

ほら。反撃されてるじゃん。

「あ。そうですか。なら、もう死刑はしょうがないですね。」

「おーーーーい!」

なんで?もう少し頑張れよ。妥協すんの早くね。てか弁護人、普通に俺死刑にしたいだけでしょそれ。さすがにきついよこれ。

「ちょ、ちょっと。」

「被告人。静粛に。」

「えー。何か言わせてくれよ。」

これ、裁判の意味あんのか?どう頑張っても死刑じゃね。


ドンドン!

「被告人はファニル王子に対し、明確な悪意をもって殴りかかりました。これはこの国の外交に関わる大きな罪です。国家転覆罪と殺人未遂とし、よって被告人を死刑とする。」


「「ワ~~~~~~~~~~!」」

歓声が凄いなぁ。   なんて、思っている暇はない。死刑かよ。今度こそ人生終わりです。みんな、今までありがとう。


「それでは、これで裁判を閉廷しま....」

バァン!

ん?誰かが入ってきたな。誰だろう。あのおっさん。

「この件、私が見てやろう。」

「「....................」」

なんか、雰囲気が一気に変わったな。何者なんだ。


「こ、国王陛下。なぜ、このような裁判にお来しにになられたのですか?」

こ、国王?エミールが、来るって言ってたけど本当に来たのか。

「まあなんだ。娘に頼まれたら行かないわけにはいかんからな。」

うーん。どっちにしろ、死刑な気がする。

「君がヤツガタケカイト君か。娘が世話になったようだな。」

「いえいえ。どちらかと言うと、俺が助けられましたから。」

そうでも言っておかないとまじ怖いから。


「よし。事件の時の事を話してみなさい。」

「えー。被告人は.....」

裁判長が話初めると、国王は顔をしかめた。

「私は、この者に話せと言ったのだ。お前らは話さなくて良い。」

あ。俺が話すんですね。


「えーと。そのとき俺はエミ...娘さんと歩いていました。で、そこに王子が来て無理に娘さんを連れていこうとして、止めたんですけど離さなかったのでついカッとなって、殴りました。」

あぶね。危うくエミールこの事を普通に呼んでるのばれそうだった。

「うむ。なるほどな。」

国王様はそう言うと、俺の顔をじろじろ見て何かを考えていた。そんなじろじろ見ないでくれ。


「ふむ。わかったぞ。裁判長。こいつは、無罪にするのだ。」

「「へっ?」」

場内だけではなく、俺も変な声を上げてしまった。無罪?どゆこと?

「こ、国王陛下!お言葉ですが、こいつは王子を殴っているのですよ!王子が望んでいる以上、死刑にしないと外交問題に発展します!」

「構わん。責任は私がとるから。この者は無罪だ。」

え。案外いい人なんじゃないの?この国王。

「し、しかし。」

「無罪だ。」

やっぱ怖いわ。目力強すぎ。


ドンドン!

「ひ、被告人ヤツガタケカイトを、無罪とする...」

「え!まじか。」

ホントに無罪になってしまった。もしかして、エミールと一緒に居たことについて怒ってないのかな。


「ヤツガタケ君。後で、エミールと一緒に私の部屋に来たまえ。話かあるのでな。」

「は、はい.....」

前言撤回。やっぱ怒ってるっぽい。


まあ、そんなこんなで俺の裁判は、無事に終わったのだった。

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