第8日 牢屋のようです。
「う、ん?」
見たことのない天井。見たことのない部屋。どこだっけここ?
「カイト君!お、おはよう。」
「お、おう。」
そうだ、俺異世界に来たんだった。それで、エミールと出会って。それで.......
「ここ、牢屋かよ!」
捕まったんだった。
「カイト君。ごめんなさい。私の私情に巻き込んで、おまけに牢屋に入れさせられてしまって。」
「良いって。俺が勝手にやったことだから。にしても、あのお偉いさん結構強引だったな。」
「うん。いつもあんな感じに強引に連れていかれるの。しかも、酔っぱらうと無理やり体を触ろうとしてきたりすることもあるのよ。結局あの後、気分が削がれたと言って帰っていったけれど。あの時カイト君が助けてくれて救われたわ。ありがとう。」
「いや。いいっていいって。」
この世界にもそう言うやつはいるんだな。友達として、守ってやれたらいいな。
「お前、あの人の事を親とかに言ってるのか?」
「言っていないわ。あの方は隣の国の王子だから、対処に困るだろうと思ったの。自分で解決しようと......」
言い辛かったのか。それは、なおさら俺が守ってやらないといけない。ステータスは低いけど。
「そう言えばエミール。ちょいと聞きたいことがあるんだが。」
「なにかしら?」
友達の認識がおかしいことと言い、あのお偉いさんと言い。こいつなんか変なんだよな。
「お前、偉い人かなんかなの?」
「え!な、なんでそう思ったのかしら?」
「いや。なんかお偉いさんと知り合いの時点でさ怪しいやん。」
なんか、一般人代表の俺気まずかったもん。あの空気。
「うん......この際だから言うしかないわね。
実は、私のお父さんがこの国の国王なのよ。」
「な、なるほど........」
え!お父さんが国王ってことは、こいつ王女なの?クソお偉いさんやん!
「まあ、そう言うことなんだけれど。ど、どうかしら?」
「い、いや。どうかしらと言われても。王女か。俺やっぱ敬語の方が良くね。」
王女に、タメ語とかお父様が見たら処刑物ですわ。こりゃ。
「そうなのよ。だいたいの人は私の名前を聞くと驚いて、そして権力目当てで近づいてくるの。そう言う人の場合は、お父様が、私に近づけないようにするから、私友達が全然いなくて......」
そうだったのか。だから、青春に憧れて友達に奢......いや、奢るのが青春とかどんなパシリだよ。
「初めて会ったときに私の名前を聞いて、カイト君が何も変わらなかったときは驚いたのだけれど、知らないなら普通に接してくれると思ってこの話をしなかったのよ。」
なるほど。だから、あの時驚いてたのか。
「だ、だから、カイト君には敬語とか止めてほしいな。なんて。」
おいおい。そんなうるうるした目でこっち見んなよ。まじ、ヤバいって。
「わ、わかったよ。」
「ありがとう。」
「ところで、エミール。」
「なにかしら?」
「俺、この後どうなるの?処刑とか、されちゃうわけ?」
正直それが怖くて仕方ない。あーあ。なんで殴っちゃったんだろ。
「もう少ししたら、裁判をやるらしいわよ。カイト君も出席するんだからね。」
「裁判ね.......まじか。」
うーん。これで死刑とかだったらヤバいよな。てか、ここで死んだらどうなるんだろ?日本に戻るのかな?
「さっきこの事をお父様に話したら、裁判に来てくれるって言ってたのだけれど。大分遅れるらしいから困ったわ。お父様さえ来てくれれば、カイト君助かるのに。」
「いや、お前の父さん友達を遠ざけてるんじゃなかったのかよ?」
会いたくねーな。正直会ったら即死刑まである。
「それはお父様が来てみないとわからないけど、カイト君ならたぶん大丈夫よ!」
「いやいや。なんの根拠があるんだか。」
まじ、来ないでください。お願いします。
「ヤツガタケカイト!時間だ。付いてこい。裁判が始まるぞ。」
来てしまった。来てしまった。
「じゃ、じゃあ........」
俺。今、凄く足震えてます。はい。
「行ってくるわ。」
「うん。絶対に戻ってくるのよ。」
はー。ありがとう。今までありがとう。お前は良いやつだったよ。
「よし。では、行くぞ。」
係員が、歩き始めた。
遂に裁判が始まる。
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