第7日 隣国の王子のようです。

「俺まじで、仕事つけんのか?」

「家事スキルを上げていけば、できる仕事もたくさんあると思うわよ。」

俺は異世界転生したにも関わらず、現実同様能力が低かった。あと、固有の家事スキル。なぜ家事スキルなのかは、少し思い当たる節がある。日本に居たとき、両親が海外に行ってばっかりだった俺は、家事をある程度やっていたのだ。


「そういやエミールは高位の魔法が使えるみたいだけど、能力値はどのくらいなんだ?」

「オール1500よ。」

「え!」

ギルドの人に教えてもらった情報によると、一般の人の能力の平均値は50だと言う。こいつ、やっぱただ者じゃねーな。


「そんだけ能力が高いなら、結構凄い職業に就いてるんだろ?魔法師とかさ。」

「あー。実はまだ何にも就いてなのよ。」

「え。そうなんか。」

うむ。こんな能力値をもっているのに、何で就いてないんだろ


「やあ。エミールじゃないか。」

うん?何か知らない人が声を掛けてきた。誰だろう?

「ファニル様。どうもごきげんよう。」

なんだ?知り合いかな。てか、まじで誰?


「まさか、こんなところで君に会えるとは。これも、何かの縁かもしれない。今からお茶会をやるのだが、君も来ないかい?」

なんか、ちょいとお偉いさんぽいな。後ろに従者みたいなやつ一杯居るし。

「申し訳ありませんが、本日は用事がありまして。」

あ、断るのね。

「いや、お茶会はすぐ終わるのだよ。だから来たまえ。」

「あのー。ですから........」

こいつ、しつこいな。普通にエミール断っとるやん。

「良いから、来たまえ!」

そう言うとお偉いさんみたいな人は、強引にエミールの腕を引っ張った。

「きゃあ!」

おいおい。こりゃやりすぎだろ。さすがにちょっと止めに入った方が良いんじゃないか?


「ちょいとすいませんが、そいつ離してもらえますか?」

俺がこう話しかけると、お偉いさんは鋭く睨んできた。怖すぎぃ!

「なんだお前は!この僕が誰か知っての言動か!」

いや、誰なんだよあんた。


「すみませんが。どちら様で?」

「え!まさかカイト君、この方も知らないの!」

あいにく、こんな糞男知らんな。

「この方は、この国の隣に位置するフェイル王国の次期国王、エドウィン・ファニル様よ!」

え?この人次期国王なの?嘘だろ。俺めっちゃ無礼やん。てか、なんでエミールそんな人と知り合いなの?


「すみません。謝りますから許してください。」

「許せるわけ無いだろ!このクズが!」

ですよねー。でも、初対面でクズは酷くね。クズは。あと、エミール離してやれよ。


「とりあえず、エミール離してくれます?」

「黙れ!クズが!僕に、指図するな!エミールは、僕とお茶会をするんだ!お前らも突っ立ってないでこいつをどっかに連れていけ!使えないクズ共が!」

いやいや。この人たちはお前に仕えてくれてんだぞ。クズは無いだろ。その一言が少し俺をカチンときさせた。しかも、エミール離さないし。そう考えたとき、俺は能動的に動いていた。


「俺にいくら何を言っても良いけど、エミール嫌がってんだから離しやがれ!あと、自分に仕えてくれてる人にクズとか言うな!クズって言う方がクズなんだよ!」

ドゴッ。


鈍い音が響いた。やべーやっちまった。殴っちまった。ファニルとやらの顔は怒りに満ちて、今にも破裂しそうだ。


「こ、この無礼者がーー!お前ら、こいつを牢にぶちこめ!」

こうして、俺は異世界転生して初日の夜を牢獄で過ごすこととなったのだ。

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