第4日 魔法が使えるようです。
てか、ちょっと冷静になってみよう。
遠くの方に町らしきものが見えると言っても、ほぼ点みたいなもんじゃないか。あそこまで、たどり着くには何日もかかるだろ。
「あのー。」
「今度はなんですか。」
あ。今ちょっと「こいつ面倒くさ!」って顔したな。
「いえ。あの遠くに見える町に行くんですよね?これ、相当時間かかるんじゃないんですか?」
「え?あっ!」
彼女は一度驚いた素振りを見せたが、すぐに納得したようでご丁寧に説明してくれた。
「うーんとね。転移魔法を使うのよ。」
テンイマホウ?なんだそれ。
「まあ、転移魔法はかなり高位の魔法だから
会得している人も少ないし、そもそも知らない人も多いから、あなたが知らなくても当然ね。
えっと、転移魔法って言うのは要するに、行きたいところに瞬時に移動できる魔法なのよ。」
あー。なるほど。ゲームとかに出てくるやつか。そりゃ異世界なら魔法くらいあるよな。
「それで、僕も連れていってくれるってことですか。」
「そういうことよ。」
てか、この人高位の魔法使えるとか相当な凄腕なんだな。
「ところで、あなた」
「なんでしょう。」
「名前はなんと言うのかしら。年は、私と近くぐらいに見えるけども。」
「あっ。そう言えば言ってませんでしたね。」
お互いに自己紹介とかしてなかったな。そう言えば。
「えー。八ヶ岳 界人と言います。年は18です。」
我ながら、ボッチ感のある自己紹介になってしまったなと少し後悔しているけど。特に言うことないんだなこれが。
「へー。同い年なんだ。私も18才よ。」
へー。同い年なんだ。年近そうに見えたもんな。
「こほん。」
彼女は軽く咳払いをすると、少し改まって自己紹介を続けた。
「私は、エミール・カルナよ。同い年なんだから、もう敬語はしなくていいわ。」
やっぱ異世界ともなると、名前が外国の人みたいになるんだな。
「エミールか。よろしく。」
「ほぇ?」
俺が軽く挨拶をすると、何かエミーナは面白い声をあげた。あれ?俺変だったかな?
「あなた。私の名前を聞いて何も思わないの?」
ん?どういうことだ?何か名前に感想が欲しいのか?
「うーんと。いい名前じゃないのか。エミール。可愛いじゃん。」
「なっ!か、かわ」
可愛い名前って褒めただけでこれか。こう言うの、弱いパターンのやつか。ソースはギャルゲー。
「ふー。そうなんだ。ふーん。あなたは、そう言う感じなのね。ふーん。」
何やら勝手に納得し始めたな。驚いたり、照れたり、急に納得したり。忙しいやつだな。
こほん。と可愛らしく咳払いをすると、彼女は何かを決めたようで、俺を真っ直ぐ見つめてきた。そこまで、見られると照れるんだが。
「か、カイト君。」
「は、はい。」
なんだなんだ。この状況は。
女子にあまり免疫のない俺からすると精神的にヤバい。
「もしよければ。わ、わた、わたしと。」
「う、うん。」
なーんだこれー!なんで!どうして!そんなに、もじもじしながら俺に話しかけてくるの!ボッチの俺から見ると勘違いしちゃうでしょ!
「と、友達になってください!」
「はいよろこんで! へ?」
こうして、俺とエミールは友達になったのであった。
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