いきなりインターミッション

 大学生の頃、今思えばサークルとか同好会に行けばよかったのに、体育会の方に入部しました。


 人気のマンガで『ハイキュー!!』ってあるじゃないですか、バレーボールのマンガ。それの登場人物に月島っていまして、クレバーなんだけどその分醒めてるってキャラなんですよ。

 で、手元に今その巻がないから正確な引用じゃないかもしれませんけど、彼が合同合宿してる他校の先輩に「どうしてそんなに一生懸命になれるんですか?」って訊くわけです。

 それに対する答えが、すごいスパイク決めて「俺の時代キター!」みたいな経験があるかどうか、だと。もしもまだならそれがお前がバレーにハマる瞬間だ、と。


 私がやってたのはバドミントンだったんですけど、高校生の頃に膝やっちゃって、それ以来本気じゃない自分に言い訳してたと思うんですよ、仕方ないじゃんって。本当はセンスがなかっただけなのにね。練習のための練習で一生懸命やってる気分になってただけ。


 で、大学2年の秋だったか3年の春だったかの個人戦ダブルスで、ランキングと言うか対外的な評価ではウチらよりも上のペアと対戦して。こっちのペアでは相方の方が強いからスマッシュとか私が狙われるわけです。が、私レシーブは好きだった。


 ネット際の攻防――向こうの強い方がスマッシュ、私がレシーブをネット際へドライブ気味にリターン、それを相手がネット前に詰めてプッシュ(ネット際の浮き球を押し込む軽いスマッシュ的なものと思ってください)、私がネット際に速い球でリターン、それをまた相手がプッシュ、またリターン。

 何回ラリーが続いたかわかりませんが、こういうの何ていうんでしたっけ? スイッチが入る? ゾーンに入った? 何十回何百回ラリーが続いても返せそうなそんな感じ。向こうがどこを狙ってるのか「見えてる」感じで、しかも自分はラケットの先まで完全にコントロールできてる感じ。

 果たして最後はじれてきた相手が焦ってネットに引っ掛けてそのラリーは終了。まさに「俺の時代キター!」みたいな感じでしたし、相手は得意のスマッシュアンドプッシュが決まらずリズムを乱して、後はそのままこっちのペースで試合終了。


 でもね、私はその時ハマるんじゃなくて、「もう充分やり遂げた」って気持ちになっちゃったんですよ。十両に上がれない力士が勝ったけど引退を決意した一番みたいな。

 次の試合の相手はもっと格上のペアで、けちょんけちょんにやられて東北大会ベスト16で終わりました。相方は「勝てない相手じゃなかった」って言ったけど、これ高校3年の高校総体県大会でダブルスベスト16で終わったときの相方にも同じこと言われたな。

 勝敗に対する執着心が弱いというか、一生懸命になることはかっこ悪いって気持ちがどこかにあるんでしょうね、私の中には。


 その後私は部内の役職を後輩に引き継いで、3年秋の大会を最後に幽霊部員となりました。


 つまり何が言いたかったかというと、たぶんこの頃から既に筋肉が脂肪に置き換わり始めていたのだろうけれど、それは体重計(当時は体脂肪計付きなんてあまりなかったし、あっても精度悪かったし)では判らない変化だったのです。

 全然関係なかったね。



 あ、あとこれも全然関係ないけど、一時期大学生協の食堂で同じものばかり食ってた時期があったのです。

 ご飯、味噌汁、白身魚フライにほうれん草のおひたし。


 一見バランスよさげですが、毎日こればかりだとたぶん必須アミノ酸のどれかとかビタミンのどれかとか、足りないものが出てくるんでしょうね。

 なんか体が重く感じるというか、体が頭で思った通りのパフォーマンスをできていないというか、そんな時期がありました。

 タンパク質も野菜も色々種類を食べること、たぶんこれ大事。

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