2.Contact



「こんな険しかったっけ…」


雄二が草を掻き分けながら、呟く。


「もともと舗装されてる道じゃないからな。

えっと…ここらへんに…、あったあった。」


その呟きに対し返事をしながらも、祐樹は何かを見つけた。


木に巻いてある黄色いロープ、これは秘密基地までの印である。


「案外残ってるもんなんだな…、これを辿れば着くはず。行くぞ」


「待てよ!!しかし意外と早く見つかったな!」


2人はキョロキョロしながら、ロープを見つけては、探しを繰り返した。


しかしすぐに2人の足取りは絶たれる。


2人の目の前には大きなフェンス、そこには「立ち入り禁止」の看板。


「あーあ、どうやらここまでのようだな、しかしこんなでっかいフェンスあったか??」


祐樹がフェンスを見上げながら問う。


「あれ…?お前知らない…?ちょっと前…ここで死体遺棄事件が…」


チラッと祐樹を見ると顔が全力で引いていた。


「なんだよその顔!!!嘘だよ!!なんか落石があったんだとよ」


爆笑しながら雄二が言う。


「お前今度まじで覚えとけよ。落石か。流石に危ねえだろ。ここらで引き返…」


雄二に対し帰ろうと提案しようと雄二の方を見ると、彼は既にフェンスをよじ登っていた。


「バカお前!!なにやってんだよ!!」


「は?なにって、この先行くんだよ。あそこに印あるし」


フェンスの上で雄二が顎を使って方向を示す。


「いや、だから危ねえって…、あーも!!!」


そう言ってる間に雄二はフェンスを飛び越え、祐樹とは反対側に着地する。


「ほら!!早く来いよ!」


祐樹は大きなため息をつき、嫌々ながらもフェンスを飛び越える。







最後に見つけてからどれぐらい経っただろうか。

フェンス越しに見えた印以来、新しい印を見つけきれずにいた。


「流石にもう見つからんな。」


「そうだな。帰りますか。」


祐樹が提案すると、流石に疲れたのか、雄二はすんなりと受け入れた。


帰ろうとしたとき、奥に大きな塊があることに雄二が気付く。


「おいあれ。あれが落石した岩かな?」


「へえ、でっけえな。」


あまりの大きさに2人は見惚れ、無意識のうちに岩に歩み寄っていた。


「はっはー!!でけえええ!!!」


「おい、立ち入り禁止なんだから一応騒ぐなって。」


「大丈夫だよ!!!はぁ!!でけえな!」


雄二はその岩にペタペタと触る。


よく触れるな。

そう思いながらも自分も少し興味があるのか、自然と手を伸ばしていた。


祐樹の手が触れる直前、その岩が大きな軋む音と共に、粉塵を撒き散らしながらうごめき出した。


「お、おい!!なんだよ!これ!!!」


雄二が慌てて祐樹に問いただすが、祐樹は「わからない」と言ってるかのように首を横に振り、その岩を見上げる。


そしてかつて岩があった場所に岩はなく、そこには巨大な"人型の何か"が立っていた。


現実離れしたその光景に2人は動けずにいた。

その巨大さに圧倒され、ただ見上げることしか。


その巨大な"何か"の赤く光っている一つ目が、ギュルンと動き、こっちをみる。


その瞬間何かを察した雄二が声を荒げる。


「祐樹!!!逃げるぞ!!!!」


えっ??と呟き、雄二を見ると腕を引っ張られ、走り出す。


我に返った祐樹も全力で走り出す。


巨大なそれは腕を振り上げ、勢いよく拳を振り下ろす。


その拳は2人の行く道を阻むかのように、地面にぶつかる。


辛うじて、当たらなかったが、逃げ場が無くなり、足が止まってしまった。


巨大なそれがもう片方の腕を振り上げ、拳を振り下ろそうしているのが2人の視界に入る。


もうだめだ…、ここで死ぬ…。


そう思いながらも、神に祈るかのように2人は目をギュッと瞑った。


「…あれ??」


雄二が思わず声に出す。


その直後、耳が痛くなるほど、大きな雄叫びをその巨大な何かが発した。


状況が掴めない2人は恐る恐る目を開けると、そこには片腕を無くし暴れる巨大なそれと、その片腕を持っている、さっきまで居なかったはずのまた新しい何かだった。


「え…ロボット…??」


緑色の装甲をした、巨大なロボットが、そこに立っていた。




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