ACT1「TURNING」

1.Before "the day"

おい!起きろって!!


声が聞こえ、机に突っ伏しっていた頭をあげる。


目の前には金髪のいかにも「ヤンチャ」な風貌をした少年だった。


「ああ、雄二か…」


起こされた少年はそう呟き再び眠りにつこうとする。


「いや、だから起きろって!もう放課後だぞ!」


そう言われ、一瞬思考が止まる。


「えっ!?まじ!?」


勢い良く椅子から立ち上がり、よだれを拭く。


「祐樹お前…、昼休みからずっと寝てたぞ…、よく怒られんな。」


呆れ顔でそう言われるも、鼻でわらう。


「寝てても勉強できるからな、特別なんだよ」


「もう飽きられてるだけだろ」


ドヤ顔で言うものの、そう返され、ムッとする。


「ほら早く帰るぞ。」


そんなやりとりの間に帰宅の準備を終わらせた祐樹は、そそくさと教室を出ようとする。


「あ、ちょっと待てって!ていうか待たせたのお前だろ!!」


それにつられ雄二も自分の鞄を急いで手に取り、後を追う。



伊藤祐樹、18歳。

伊藤雄二、18歳。

小学生低学年の頃、同じクラスになった2人は苗字も同じ、名前の響きも似て、席が前後になったことをきっかけに仲良くなり、それからずっと一緒だった。

いわゆる幼馴染で、親友である。


「なぁ、今日ふと思い出したんだけどさ、秘密基地覚えてる?」


帰路を歩いている時、突然雄二がそう切り出した。


「え?ああ、覚えてるよ。山の中に作ったな。」


祐樹は前を見つめながらそう言う。


「今から行ってみないか??久しぶりにさ。」


そう言われ、祐樹の足がピタッと止まる。


「今からってお前…もう6年も前の話だぞ?あるわけないだろ」


「いや、でも小さな洞穴の中に作ったしさ、雨風凌げてるから多少残ってるだろ!な?行こうぜ!」


祐樹ため息をつき、嫌な顔をする。


「ん?あれれ??もしかして山怖いの??」


雄二は祐樹を煽るようにニヤケながら話す。


「は、はぁ!?怖くねえし!おう良いだろう、行ってやろうじゃねえか」


まんまと乗せられた祐樹はその山に向かって早足で歩みを進め出す。


「楽勝楽勝」


雄二は笑いながらそう呟き、後をついていく。


この行動が、2人の運命を大きく変えることも知らずに。




-------


<CHARACTER>


伊藤祐樹:イトウユウキ(18)


東京第3西高等学校に通う高校三年生。

学年で常にトップに君臨する学力の持ち主。

だが普段は授業中に寝たりと生活態度は最悪。

そのため友達が少ない。本人曰く人間関係めんどくさいからいいと言い訳してる模様。


伊藤雄二:イトウユウジ(18)

祐樹と同じ高校に通う高校三年生。

アメリカと日本のハーフで、生まれつき髪の色が明るい。そのため不良と誤解されることが多い、

しかし丹精な顔立ちとそのすらっとした見た目から学校で王子様として人気がある。

本人はそれを嫌がっている。






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