第4話 どこにいても

<雪井零>

クラスにつくと大勢の人がいた。

「なんで人だかりができているの・・・?」

「大丈夫だよ澪。俺がいるでしょ?」

「零・・・ありがと・・・」

でも、なんでそんなに人だかりができているんだろう。何かあったのかな。

「澪。ちょっとここで待ってて。」

「え・・・!零待って!一人にしないで!」

「大丈夫。ちゃんと戻ってくるから。」

そう言って澪を教室の端っこにおいて人だかりに行き、一人に話しかけた

「こんにちわ。何をしているのか聞いてもいいですか?」

「ん?やぁ。こんにちわ。このクラスの人?」

「はい。そうです。」

「君はラッキーだね。」

「なぜですか?」

「このクラスにかわいい子がいるって噂できたんだよ。」

「へぇー。名前はなんていうんですか?」

「え、えぇーと、花咲だっけ?かわいらしい名前だよな。ほらあの隅にいる子。」

「みんな花咲さんを見に来たのですか?」

「うん。そうそう。」

澪のことで集まっていたのか。

澪をほかの場所に連れて行かないと、澪が知ったらきっと怖がる。

「澪。ちょっと教室以外行こ?」

「あ!じゃあ図書室行こ!」

できるだけ澪を人だかりから見えないようにして図書室へ行った。

「て、言うか澪。図書室開いているの?」

「うん!開いているよ!学校に生えている木が教えてくれた。」

「木と仲良くなる前に人に慣れろ。」

「えぇー。だって僕は零がいればそれでいいし。」

「だめです。」

澪はやっぱり人を嫌う。僕がいれば大丈夫だと思っている。

そんなことはないけれど。いつまでも僕がそばにいられるわけないのに

「零なにぼけーっとしてんの!図書館に着いたよ!」

「あぁ。うん。」

「失礼しますー!」

「誰もいないじゃん。」

「ほんとだぁー。でもそっちのほうが楽だなぁ。」

「なぁ。澪。」

「ん?どうした零?」

「時々澪が急にどこかへ行きそうで怖い。だから、どこにいても澪を見つける。約束な。」

「零・・・。どこにいても僕を見つけて助けてね。」

「おう!」

「ところでさ零。この本とこの本どっちがいいかな。」

「ここ2冊借りれるみたいだから、両方借りたら?」

「あ!そうする!零は本借りないの?」

「俺が本読むような人か?」

「・・・読まないね」

「だろう?」

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