真夜中は純潔〜若き日の唯一無二 with スカパラ
2001年3月リリースの、林檎姉さんのシングル曲だぜ。
3枚目の傑作アルバム「
そんでもって、いまだにシングルのまま、ってわけだ。
まさに。
孤高の一曲だ。
すくなくとも、おれにとっては別格だ。
スペシャル・キラー・チューンだ。
あんたらも、ちらっとぐらい見かけたことがあるだろう?
カラコンをつけた異様な顔つきのアップで、ジャケットに収まる姉さんを。
あの眠たそうな瞳には「PT 25NO SR」すなわち「Pure Tonight 25 Nov Sheena Ringo」とあるんだぜ。
けどよ、アナログ版のジャケットじゃねえと読めねえんだ。
あ?
レコードプレーヤーなんて持ってねえってか?
そりゃあ残念だったな、はっは。
妙な表情の林檎姉さん、じつのところ、究極に眠たかったらしいぜ。
そんときゃ自分でも気がつかなかったらしいが、姉さんの腹ん中には小さな命が芽生えていたんだよ。
つまり、妊娠初期のどうしようもねえ睡魔が、撮影中の姉さんを襲っていたのさ。ほほえましいじゃねえか。
けど、デキちゃってるってことが明るみになったせいで、その後に予定してたPVを撮れなくなっちまったのよ。
黒猫のようなタイトなスーツに身を包んで、姉さんはアクションビデオを撮るはずだったのに、急遽、中止だ。
まわりの連中の慌てようが、目に浮かぶぜ、はっはっは。
まあ、おかげであんな傑作ビデオが出来あがったんだから、なにがどうなるか、この世は分からねえな。
あんたらも観たことあると思うぜ。
番場秀一さんのアニメーションPV。
これ以上かっこいいPVアニメは、お目にかかったことがねえな。
おっと、おれとしたことが、サウンドのことを忘れていたぜ。
姉さんは、デビュー前からベースの亀田師匠にお世話になってた。
けど、この「真夜中は純潔」
はじめて他のひとに編曲を頼んだんだ。
東京スカパラダイスオーケストラ、って知ってるだろう?
知らねえヤツは恥ずかしいぜ。
覚えとけ。
スカパラ。
1985年結成。
日本のミュージックシーンにおける重鎮集団。
だれもが認めるトップ楽団だ。
あ? なんか勘違いしてねえか?
昔からやってるからって、オジサンのためのバンドじゃねえぞ!
若い中高生にも、あこがれてコピーするヤツらがいるんだ。(注1)
めちゃキマってるオープニング。
みずみずしいスカのリズム(注2)。
姉さんの若々しい声。いまから15年以上前の少女の時代だ。
研ぎ澄まされたブラスの響き。
いぶし銀の中に金色のきらめきが混じるドラムス。
シュアでスタイリッシュなベース。
軽やかに舞い、華麗に射ぬくギター。
そして、こころをゆらす鍵盤。
まぎれもない、姉さんのメロディ。巻き舌もパワフル。
サビの終わりに、いうセリフは。
あなたが、イイ。
そしてその理由は。
ナイ。
いっぺん聴いてみろ。
これが唯一無二の一曲だと、あんたたちも理解するだろう。
これがロックのカッコよさだ。
これが疾走感だ。
これが時空の流れだ。
未来へと突き進む、だれも止められない、宇宙の怒濤の突進だ。
おう。
今日は、ここまでだ。
サンキュー。
iPhoneから送信
注1:香川 照之さんとか、松本幸四郎さんとか、グッチ裕三さんとか、渡辺香津美さんとか……、そうそうたる方たちがOBとして名を連ねる、東京は九段下の暁星学園。そこの若い子たちのなかには、東京スカパラをコピーして学園祭で演奏するグループがいます。きのう学園祭に行ってきました!
注2:スカとは、1950年代にジャマイカで発祥したとされるサウンド形態。レゲエのリズムをメチャ早くした感じ。同じように2拍目と4拍目が強調されてるけど、疾走感が特徴のリズム。そう。生きているドライブ感。いいんだ、これが。最高。
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