ハツコイ娼女〜最高にクリエイティブ

平成時代に燦然とかがやく宝物。

アルバム「平成風俗」

その4曲目が、それ。

「ハツコイ娼女」


ライブ映像がネットで見れます。

斎藤ネコさん指揮する豪華絢爛のオーケストラ。

大ステージ上には、なんとも大きなかぶり物をした林檎お姉さん。

どこか異世界から降臨された、姫さまのようです。


姫さまがご自分でプログラミングをされたときく、この曲。

さっそく聴いてみましょう。


控えめな、しかし確かな、鼓動のようなバスドラのビート。

そこへ、ご自分のAKG(マイク)にて宅録したとおっしゃる左右2トラックの歌。

初音ちゃんにガンとばしていらっしゃるかのようです。

恐いわ〜。

とひるんでいると、サビが美しい。

と思いきや、おどろおどろしい間奏。

しかしその渦まく霧をかき消す姫の細切れの声。

直後にまた、うるわしいサビ。


歌詞を見る。

ああ、涙があふれます。




エコーが描き出すものを目にした姫さまのこころのうちは、いかようだったでしょう。

そのひとかけらを、感じることができます。


何億のうちのひとつが入ることを許された偶然。

火が消えずにともり続ける幸運。

何十億年にわたって繕ってきた暗号の神秘。


神秘が形づくった美。

獣の姿をしたあなた。

奇跡以外の何ものでもない。


大それたことに怯むのか。

おのれの本能に畏怖するか。

人間であることを、生命であることを覚悟するか。


そのとき彼女は。

人生でいちばんクリエイティブだったのだ。




〜いまのうちに、知りたいものだわ〜

〜粒のようなあなたは、いったい何を考えているの?〜

〜ん? ほっといてほしい?〜

〜ふふっ、そうよねえ〜




「人間」が最高の関心事である姫さまなら、きっとそう声をかけたに違いない。


まどろみのなか、お腹に手をあてて。





iPhoneより送信



PS:姫さまの冠は異世界の巨大なシカのツノではありませぬ。

不肖わたくしめが解説いたしまするに、地球における人類の先達、大海原にゆっくりとたゆたうクラゲ種族がとる姿のひとつである、ストロビラ形態をかたどったものに違いありませぬ。

新しい命を自らの身体から作り出し、太陽系地球の表面にエントリーNo. 1として放出いたしました、母なる冠でございます。


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