## 第4話 新しき問題

誰も会社に来なかった。


エンジニアたちを自由にさせてはいけない。かといって縛りすぎてもいけない。


試行錯誤の末、我々には分かった事がある。自宅勤務であろうが社屋であろうが、「頼んだ投稿は一日に一度が限度」であること。そして、人的資源らは、言ってしまえばわがままであり、誰一人として、

 

 「あなたとジャバ、今すぐダウンロー

 ド」


と素直に投稿する者はいない、ということである。しかも継続的に。


エンジニアらは「ジャバ」「ダウンロード」「無料」などと投稿するのみであった。



何も変わらない。


精鋭n名の人的資源とは何だったのであろうか。よりすぐるための、すり鉢状空間での死闘の意義とは。



   ☕ ☕ ☕



会議。


「前向きに考えよう。エンジニアらはジャバできている。」


こう放ったのは「ジャバ組」の一人であった。各員の端末に輝く文字列は、HTML/CSSレベル3によって、きらびやかに、かつ立体的に装飾されていた。会議用アプリケーションは自由に文字列を飾ることができないはずである。その分の説得力は増していた。


エンジニアらは「ジャバ」「ダウンロード」「30億のデバイスで動く」などと投稿できているのであるから勝ったも同然である、そのような主張に思えてくる。



新たな問題はこうなのだという。「いつ」「どこで」「誰が」「何を(1フレーズ)」投稿するか、また(可能な範囲で)「何を守らせるべきか」を決めることである、と。


目標は新たに設定され、一日に一度はタイムラインに例のフレーズ、を閲覧者が目にさえすればよいと決められた。例のフレーズとは、もちろん「あなたとジャバ、今すぐダウンロー

ド」という文字列だ。まずは小さく始める。ガレージからスタートアップというわけである。


新たな問題が起こるにいたる背景は、元の問題提議の以前から存在していたように見える。太古の昔から、人類が繰り返し悩んできていたイシューなのではなかろうか。

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# あなたとジャバ投稿問題の解決とその実装 トビーネット @tobynet

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