#15
キメ顔でドヤァな笑みを浮かべた後、万治は話しだす。
「最初に犯人の特徴だけど、伊藤さんが突き落とされた時、頭一個分位の違いがあったのを覚えている。それで、その身長差を測る為にドアの横に立たせて置いたんだよ。そんでそれに基づいて観察したら、該当するのがさんと森野さんと田辺さんの二人だけだった」
口角を引きつらせた大岡が馬鹿にしたような口調で言った。
「たったそれだけで部長が犯人なのか?」
万治はクスッと笑い返し。
「合いの手ありがとう、モブ岡さん。確かにそれだけじゃ何とも言えないよな。二人、同じ身長の人が居るし。しかし、人間ってのは言葉同等、『行動』に現れるんだよ、真実が」
「行動?」
川下が不思議そうな声を出し万治を見る。
「あぁ。まずは最初に気になったのが伊藤さんのネックレス」
万治は伊藤の首元に指を差すと、そこに居た全員が彼女のネックレスを見た。
「伊藤さん、その黄色のネックレス。誕生日に部長から貰ったって言ってたよね?」
「えっ、あ、はい」
「心理学ではね、ネックレスや指輪を異性に贈るのは『束縛』の意味合いが大きいんだよ。そんでこの黄色と言うのは『子供が愛情を求める色で、誰かに依存する。』そういうタイプの奴が選ぶんだ。」
伊藤の隣居た川下は首を傾げた。
「子供?」
それに深く頷く万治。
「そもそも、ストーカーってのは、『噓吐きであり、ロマンチスト』、言い換えれば
理想主義者。これも黄色と言う色の特性ではあるな、うん。
それでストーカーになる奴ってのは、統計的に高知能か幼児性を引きずっている奴が多いデータが出てる。部長の場合は後者だね。
ストーカー被害は大学入学して二ヶ月。人間が親密になるのに要する期間が心理学では大体この位で、これら観点から日頃のストーカーは部長さんで十中八九間違いないと推測できた」
川下は続けて質問した。
「でも犯人とは限らなくない?」
万治は
「確かに」
と、頷けば続けて話を進めた。
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