#13
「でわ、質問です。たしか、一旦解散したのは、十二時ですよね? んじゃ~、『今日のお昼は何時に何をたべましたか? 』」
シーン
ポカーン
室内にはそんな音が聞こえている様だった。
全員が、万治を不思議そうに、あっけにとられ眺めている。
その様子に万治は頷いた後に、少し低い冷たい声で、サークルメンバーの顔を観察するかのように見渡しながら、ゆっくりとした口調で告げる。
「この質問は極めて非常に重要です。皆さん、『詳しく』そして『正しく』答えて下さいね? 良いですか? 絶対に虚偽の報告は辞めて下さい。」
口元は笑っているのに、目の中は一切笑って居ない。
瞳孔が開いているのか、異様に異常に観察されている感覚に、サークルメンバーは嫌悪感を万治の瞳に感じた。
「では、最初の方は……」
明らかに場の空気は張り詰めていた。
そして、万治はわざと質問を振る一人目を当てるのに時間を掛けた。
それはサークルメンバーがどの様な行動をとるかを観察する為で、それによって万治は一人に的を絞った。
「当事者である、伊藤さんお願いします」
ビクッと肩を震わせた伊藤。
言葉に詰まりながらも伊藤は口を開いた。
「え? ……はっ……はぃ……え、えっと、私は駅の近くで十三半時頃にお刺身定食を食べました」
「ほー……あの駅の近くでお刺身。よかったら今度紹介して? 俺、刺身好きなんだ」
「は、はい……」
万治はニコリと笑えば、次に川下に話題をふった。
「では次に川下さんお願い」
うんと頷いて川下は話し始めた。
「私は伊藤と一緒のお店で、駅近くのお店で鯖の味噌煮定食を食べました」
「一緒にか。仲が良いんだね?」
「高校からの親友ですから」
うんうんと頷き笑いかける万治。
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