#12

「では、伊藤さんと川下さんを除いた男性四人方、軽くお願いします。」


 万治はニコリと笑みを作る。


「では、俺から。先ほど言ったが、部長の田辺だ。って、これだけで良いのか? とりあえず趣味はゲームかな」


 田辺は背は平均的だが、背筋がピンとしているのか、少し大きく見える。

 175センチメートルと言ったところだろうか。

 ポケットに親指だけを出して手を突っ込んでいる。部長という堂々たる雰囲気があった。

 如何にも出来そうな短髪で爽やかなイメージがあり、こんなサークルじゃなければテニスでもやっていても可笑しくない。


「はい、かまいませんよ。では、次の方」


 田辺の隣に立つガッシリトした体型の大柄な男、大岡が不機嫌そうな声色で自己紹介をする。

 趣味はランニングと、ムスッと腕を組んで答えている。

 このサークル内では一番身長が高く、180センチメートルは有るだろう。

 高校の時にはバレーボールをやっていたそうだ。


 次にその隣の小さい男が答えた。


「は、林田です。趣味はアニメや漫画が好きです」


 万治はオッと小さく呟いた。

 例のレアフィギュアを伊藤に贈ったってのはどうやら彼みたいだ。

 身長は165センチメートルと言ったところであろう。

 華奢で気弱そうな感じもする。

 アヤメは林田をジーと見ていた、と言うより睨みを効かせていた。


「では、最後に、アナタですね」


「あ、はい。森野と言います。趣味は特に無いですかね」


 なんか覇気が無い男である。

 短髪であまり服装に興味がなさそうで、右手首を左手で掴んで気だるそうな雰囲気で立っている。

 身長は175センチメートルくらいで猫背気味。

 何と無く見た目だけで言えば一番ストーカーに見えなくも無い。


「皆さん、どうもありがとうございます。続きまして、早速、質問に入らせて頂きますね」


 万治はニヤリと口角を上げて、薄き気味悪い笑顔を浮かべた。

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