第123話 虹憂陸 にじゅうろく

「ユキヤ…」

 とても久しぶりにユキヤの顔を見れた気分になるナミ。

「サイテーだね…」

 ナミから見たユキヤは、ピンクのヌラヌラに年増女と手を突っ込んで唸っている。

「サクラもいる…なんか楽しそう?」

 サクラはなんか小脇に怪しげな武器を携えて、薄ら笑いしている。

 イヤラシイ、ヌラヌラに手を突っ込んで苦悶の表情を浮かべる、自分を人さらいした年増女。


「あっ、サンドイッチくん」

「なんで来た?」

 怪しげに光る鈍色の器具を握りしめるサンドイッチ人。

「なに?イヤラシイ感じ?そのために呼ばれたのワタシ…そういうプレイNGなんですけど…」

 ちょっと後ずさるナミ。

「おい…怯えるのも解るが、落ち着け、今は誰の邪魔もするな」

 両手を突き出してナミに近寄るサンドイッチくん。

「嫌だよ~、そんなのでかき回されたくないよ~、ナミの壊れちゃうよ~ユキヤー!!」

 サンドイッチくんにサンドイッチを投げつけてパタパタとユキヤの方へ走り出すナミ。

「おい待て!! 今は触るな…あっ?」

 つんのめって…ピンクのヌメヌメに杖を突き刺してしまったナミ…。

「えっ?」

 パチッと目を開ける亜紀人と彩矢子。

「ナミ?…なぜここに?」

「ユキヤー…なんかひんやり…ヌプヌプして気持ちいいねコレ」

 驚きのあまり目をパチパチしている彩矢子。

「なんでさ~、こんなオバサンとなのさ~」

「叔母さん…なんだ…僕の」

「は? そういう感じなの? オバサンにとかの気分なの?」

「オバサンの意味が違うわ…ナミさん」

 ムッとしてナミを睨む彩矢子。

「どこの店? 安っすい熟女系でしょ?」

「亜紀人…どうして。この子なの?」

「アキト、アキトって…偽名ですから~アンタなんかにユキヤが本名言うわけないもん、教えるワケないもん、ね―ユキヤ」

「自分でユキヤって言ってるじゃないか…」

 No80ハチマルが呆れたように呟いた。

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