第117話 虹幽 にじゅう
「その意味が解るよ」
『そうか…その答えは解らずとも、お前はそういう存在だ』
「それを造りだそうとした天上人」
『正確には、我が物としようとした…そういう輩もいたであろうな』
「僕がナミをパートナーに選べば」
『ナミもお前と同じ時間を共有できるだろう』
「永遠…」
『思う永遠とは違うだろうな、身体は朽ちるのだから…お前もナミもな』
「記憶は引き継ぐのか」
『記憶というべきか…経験だ。お前達は産まれたときから互いを知っている。どこでどんな出会いをするか知っている。過去、何をしてきたかも…それがお前達にどう影響するかは解らない。この宇宙は1巡目なのだからな』
「もし…僕が特異点を…いや、その可能性を行使しないという選択もできるのか?」
『できる。それは、宇宙の終焉を意味する。事実、そうして消えた宇宙もある』
「大体、解った…キリストが探したものは…僕か?」
『だろうな…見つかるはずもない』
「最後の質問だYAMA、天上人とはなんだ?ただのヒトだったお前に、その可能性を示唆し、検証させた天上人とはなんなんだ」
『知識の成れの果て…自らの肉体を捨て、モノリスという記憶媒体に知識と人格だけを残した生命体、彼らは悠久の時間を観測するためだけに宇宙へ散って行った生命体の成れの果て、距離は関係なく散ったすべてが一つであり、無数でもある。特異点に近づこうとした存在』
「そうか…今も観察中か」
『おそらくな、そして検証中だ。だが、関与はしない。できない。お前を支配することなど誰にもできぬ』
「亜紀人さま!!」
通路の奥からサクラが走ってくる。
「これを」
差し出されたヴァジュラ。
「これは?」
「ヴァジュラ、神が使った雷を呼ぶ武具です」
「触媒か…」
『どうでる特異点…約束された奇跡を行使するか』
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