第115話 宙覇血 ぢゅうはち
『キリストとか…知りたいか、といっても推測混じりになるが』
「構わない」
『そうか…アレは我とは違う、似て非なる者。我の知る天上人ではない者が造りしヒトの上位互換種、ヒトは自らでは、それ以上進化できない、天上人は、その可能性を引き出してみたくなっただけ、その方法や手段、つまりは過程には興味は無い、やった結果に興味を持ち、しばらくの間、観察と実験をしていただけ、興味が薄れれば、無責任に放置したまま、彼はこの星を去って行った』
「僕達は…いやYAMA、お前はその成れの果てか」
『そうなのだろうな…植え付けられた使命も、その文様と同様に刻まれただけ、それに従うだけなのかもしれんな』
「意味の無い行為だとは思わないのか?」
『さぁな…いずれにしても廃棄されたも同然の我を再生させたのはお前等だ、その責任はあろう』
「俺たちの罪…」
『そうだな、相応の罰と、回避するチャンスだけは与えよう、それがYAMA足る我の使命』
「そこはブレないんだな」
『審判がブレては、威厳も何も無かろう』
「そうだな…」
『キリストだったな、アレは自らの存在の意義を探し続けた永遠の巡礼者なのかもしれん、従い、慕う者も多くいただろう…その生き方は裁きを求めているようにも見えた』
「キリストを実際に知っているかのような言い方だな」
『そうなのかもしれん…あえて言わぬ、彼の奇跡は天上人在りき、本人がそれを自覚していなかったのだろう、死しても記憶を移植されたクローンに入れ替わるだけ、死の記憶はある…のに、またこの地に立っている記憶の矛盾に悩んだのはキリスト自身だ』
「用意された奇跡か」
『そうだ、キリストは特異点として創造されたが、彼は可能性を持っていただけで特異点としては不完全だった』
「特異点…なぜ、天上人は特異点を造ろうとしたんだ?」
『更なる私見になるが、おそらく、彼ら天上人も進化を誤ったと感じたのではないか』
「そして俺達も…」
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