第112話 柔護 じゅうご
「さて…どうやって探したものか…ね」
YAMAってくらいだからインド関係なんだろうなと思いながら棚を眺める。
当然、簡単に手が触れるようには保管されていない。
劣化を防ぐために、1枚1枚、1冊1冊、が丁寧にコーティングされている。
「はぁ~、面倒くさい」
それを丁寧にめくり、それらしい文献やら絵を探す。
身体を持たない時点で、ほぼ無敵なんじゃないだろうか。
外部と連絡が取れれば、電源を遮断してしまえば、数十年先には機能を停止するだろう。
YAMAにとっても閉じ込められたという状況こそ一緒ではあるが、立場が違う。
電気的に外部接触した時点で世界のコンピューターシステムはYAMAの意のままになってしまう。
人為的な接触は不可能。
YAMAは別にどうでもいいのだ、たぶん。
今回は場所が悪かったというだけで、また時を待てばいい。
こっちはそうはいかない。
「糸電話でもあればいいのに」
アナログな技術も時には必要だと、今日知ったような気がする。
皮肉にも、書物を1枚1枚めくるというアナログな作業中に、ソレを考えるなんて…ブラックジョークだ。
インド、リグ・ヴェーダ讃歌にでてくる天界の死者の王。荒あらしい神で、太陽神ヴィヴァスヴァトの息子。 また大洪水の生き残りであるマヌの兄弟。 ヤマと配偶神(双子の妹)ヤミーの兄妹は最初の人間の夫婦であり、ヤマは最初の死者。
仏教の閻魔大王、閻魔天にあたる。
『天上人』がヴィヴァスヴァトってことか…双子の妹?
(クローンじゃないのか…妹って、ヤミーとは誰だ?)
「雌型のクローンも造ったのか…夫婦…雄型と雌型がいた?」
雄型がYAMA 雌型のYAMY。
夫婦としたということは…繁殖を試みた、同一の遺伝子で性別だけ変えた、そして繁殖…単体では不完全だったからか。
結局、考えることは一緒だ。
不完全な者同士を補完しようとしたのだ。
僕はマザーと
(失敗したんだろうな~たぶん)
マザーか…そうか…使えるかもしれないな。
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