第105話 覇治 はち

「ねぇなんで、いっぱいいたんでしょ?他の人は何処に行ったの?」

『各地に散らばった、詳しくは知らないが我と同じように神と呼ばれたか、新たな文明を築いた者もおろうな』

「頭いいんだ」

『知識は学んだ、不思議な乗り物の中でな』

「UFO?」

『そうなのかもしれない、だが、オマエの知っているソレとは大分違う』

「円盤じゃないの?」

『乗り物と言ったが、物質的なものではない。そうだな転移装置とでも言った方が理解しやすいかもしれん』

「わからんけどね…」

『距離を限りなく0にするための乗り物だ』

「ますますだけどね…」

『紙があるか?』

「紙?ペーパー? あるよ、ほらっ」

『その紙に1本、線を引け』

「こう?」

『端から端まで移動するのに時間が必要だな、解るか?』

「うん」

『紙を真ん中から谷折りすると端と端が直接くっ付くだろ』

「こう?」

『そうだ、つまり空間をパタンと折って、再び開くと移動しているという原理だ』

「ふ~ん」

 ナミは紙を両手の指で摘まんでパタパタと開いたり閉じたりしている。

『もちろん、どこでも好きな場所へとは、いかないのだがな』

「どこでもドアか」

『そう言えば、すぐ理解できたか?』

「そうだね、説明長いよね~」

『まぁそんな感じで、違う土地で、異なる姿の人に知識を学んだのだ』

「学校ね、あ~転校生だね~虐められなかった?」

『……そういうことはなかった……みんないたしな』

「そういう転校生、珍しいよね~、でもさ、転校生同士で仲良くなったりしてね」

『同士というか…皆、我だしな…仲よくというか…まぁ境遇が一緒というかな』

「6つ子の転校生みたいなね」

『6人ではないし、もっといたが…クローンだからな』

「あ~、そういうの解らないけど、変な感じしなかった?」

『なぜだ?』

「自分がいっぱいいるんだよ~、アタシだったら…なんか嫌かも」

『そういう感じはしなかったが…最初は戸惑ったな』

「だよね~解る~」

『解るのか?』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る