第106話 躯 く
(どうせ破壊しか考えないんだ…アイツラは)
ならば、破壊は任せればいい、
オーパーツはオーパーツでしか破壊できない、おそらく。
簡単に破壊できないから現代まで残っているのだ。
YAMAの遺伝子情報を残したのはなぜだ?
失敗作だったはずなのに…。
YAMAの言う天上人が宇宙人かどうかなんてどうでもいい。
当時の、いや現代でも追いついていない程の文明人だったのだろう。
興味本位、自己満足、虚栄心、自己顕示欲…なんだか解らないが、当時の人を遺伝子的に調べ、弄り回して完全なヒトを造ろうとした。
YAMAは失敗作だ。
彼の見解ではキリストも…。
(競争でもしたのかね?異種族同士で、原住民の魔改造か…迷惑な話だ)
その失敗作をなぜ、未来へ残した?
恥の歴史ではないのだろうか?
ダヴィンチが駄作を残したいと思うだろうか。
なにかソコに違和感がある。
キリストは破棄された。
結果、ミイラとなっても生殖機能は復元可能で、僕らは産まれた。
欠陥品としてだが…だが仕方ない、キリストですら失敗作なのだから、僕らが欠陥品でも仕方ない、ある意味、正しくコピーされた結果だとも言える。
キリスト単体では埋まらなかったナニカを
それはコピーではないYAMAは確かに言った、模造品が本物を超えたと。
なにが違う?
オリジナルとコピー…製作者の腕か?
違う…キリストは繋ぐための布石だった。
あれはアレで完成品だった。
YAMAは?
身体を捨てた今が完成品なのか?
ただのヒトにしか思えないが…ある意味、自分に近しい感じを受けた。
YAMAを未来へ繋いだ理由がある。
つまりYAMAには致命的な欠陥がある。
だから公に出来ない書庫であるココに来たんだ。
問題は、パソコンのデータバンクにアクセスできないこと…この膨大な書の中からYAMAに関する記述を探さなければならない人力で…独りで…。
(マザーがいれば…数秒なのに…)
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