第103話 禄 ろく

『なんでも聞いていいのだぞ』

「なんにも聞くことないよ~」

 ナミはモニターに映るバカデカいコンピューターを見ている。

『では、我の記憶を話そうか?興味はあろう?』

「え~さっき聞いてたし…なんか石運んでてて、怪我して、ライオンに食われて…で?なんだっけ?」

『ライオンに食われた覚えはないが…そこで記憶が途切れた』

「ライオンじゃないの?トラ?クマ?パンダ?」

『パンダ?もクマだが…パンダが進化の途中だと知っているか?』

「なに進化?パンダ別のナニカになるの?凄くない?何気に」

『笹を食料としている途中なのだ、だから肉も食べるぞ、今はまだ』

「ウソ?パンダって笹ばっか食べてるんじゃないの?あ~だからパンダに食べられたんだ?えっ、中国の人?」

『いや中国人では無かった、当時は何人とか考えたこと無かったが…今言えばインド人だった』

「インドね、カレー好き?」

『いや食べたことないが』

「インド人なのに~ウケる」

『ウケる?』

「笑えるってこと~」

『笑うな』

「怒る~、怖い~、喋るだけでも受け入れ難いのに~赤く光って怒ってくるよ~、ユキヤー帰りたいよー」

『カレーとは美味いのか?』

「美味しいよ…給食で好きだったよ」

『給食?』

「学校で食べるんだよ、お昼だけだよ」

『ほう…良い時代なのだな…我は食事なぞ、ほとんど記憶にない』

「貧乏だったの?」

『貧しかった…王だけが贅沢をして、民は労働を強いられていただけだった』

「あ~悪い感じの王様だね」

『そうだ、ゆえに我が裁きをくだした』

「また怒ったの?」

『あぁ…天の裁きだ』

「すぐ怒るんだね~短気なの?牛乳飲めば?」

『今は必要ない…』

「機械だった…忘れてた…ところで、なんで機械なの?」

『汝は話を聞いていたのか?』

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