終章

第98話 異血 いち

「なっ!!」

 No80ハチマルがモニターを見る。

「バカな…この女に反応したのか?」

『違うよ…私が挨拶したのは、お前等にだ、改めて挨拶しよう、私はかつてYAMAと呼ばれた者、彼の地を統治した最初の支配者、我が何者であったかは知らない…神と呼ばれ、天に運ばれし者』

「天に運ばれし?」

『彼の地は、天空の城に住まう民に統治されていた、我は彼の地で産まれ、天空の民に育てられた、肉体は滅びても魂は永遠となり、いつの日か再びの統治を約束された者、今、時を迎えた、歴史は学んだ…文明は衰退している、裁きをもたらさん…人は、この地に住まうべき資格はない』

「トラップだ…ブービートラップだったんだ」

 亜紀人が呟く。

「トラップ?」

 サクラが聞き返す。

 No80ハチマルは強制終了を試みているが、上手くいかないようだ。

「あぁ…YAMA、閻魔の語源、裁く者…ちゃんと解読できていたのに…警告だったんだよ!! 滅ぼされた文明の…破壊できない鉱物に掘られたYAMAへの警告文だったんだ」

「そんな…」

 彩矢子が膝から崩れる。

「なにが知的好奇心の赴くままにだ!! 待ってたんだ、コイツは文明が追い付くのを」

「なんのために?」

「さあね…コイツは神なんかじゃない、ただの破壊者だ、その遺伝子情報を復元してしまった」

『ただの破壊者とは聞き捨てならない…我は神と崇められた者ぞ』

 モニターに閻魔の絵が映し出され、地獄絵図が次々に移し出されれる。

『ちゃんと伝わっているじゃないか、我の所業は、これらが現実のものとなるぞ』

「ダメだ…完全にマザーを乗っ取っている…」

 No80ハチマルがノートパソコンから手を放した。

『肉の身体が金属に変わり、血が電気に変わった…膨大な知識を有する、この身体…気に入ったぞ、貴様らヒトには相応の罰が必要である』


「なんなんですか…この人格は」

 サクラが呆然とモニターを眺めて呟く。

「太古のナンバーズだろ…宇宙人が造ったのかね…呆れるよ」



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