第92話 良知良能 りょうちりょうのう
施設へ着いたのは、すでに明け方だった。
僕は自室へ入ると、そのまま半日眠ってしまった。
時差ボケなのか…夜中に目が覚めて、窓を眺めた。
コレで良かったのかな…
翌朝、彩矢子に会いに行き、アオイの事を改めて聞いた。
「あの子には、申し訳ないことをしたわ」
思うところがあったのだろう、少しやつれたように見えた。
「それと…
「ナンバーズ、何しに?」
「直接、アナタとは関係ないけど、彼の目的は、とある遺跡の解析なの」
「遺跡?コロッセオみたいなか?」
「あぁ…そういう類のものじゃないわ、いわゆるオーパーツみたいなものね、大半は偽物だけど、時折、本当にあるのよ、なんだか解らないレベルの出土品が」
「オカルトか?」
「まぁそうとっても差支えの無いモノよ…会う?」
「考えておくよ」
「そうね」
それだけ話して立ち去ろうとした。
「あっ…一応、
「あぁ」
「あと、ナミさんのことだけど…」
「彼女の意思に任せるよ、そこまで強制的に介入できないよ」
「そう、それがいいのかもね」
1時間もしないうちにサクラが研究室に資料を持ってきた。
『Enigma Numerical Mechanism Antiquity』
「多数の謎をもった古代の仕組み?でいいのかサクラ」
「そんな意味でしょう」
「なんなのソレ?」
「通称
「エンマ、閻魔大王の閻魔かい?」
「こじつけもありますが、古代の法律ではないかという見解から裁くモノという意味で呼称されたそうです」
「本?」
「いいえ…模様ですね」
「模様?」
「文字ではなく模様にしか見えません、言語学者でも言語ではないと断言しました」
「それがなぜ、法律だと?」
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