第91話 来来世世 らいらいせせ

 翌日、ナミは昨日のことなど考えてもいないかの様に、はしゃいでいた。

 僕とサクラを引っ張り回して、色んなアイスを食べていた。

「なんか日本に無い味ばっか…これは全部食べてみたいね」


 結局3泊して、アメリカからイギリスへ移動した。

「あれが見てみたいの…なんか有名な絵、なんだか忘れたけど」

 大英博物館で100ポンド寄付して、丸1日、博物館にいた。

「ほぇ~、へぇ~、え~」

 なんだか感嘆詞ばかりで美術品の評価をしているナミ。

 その声で、その展示品が好きか嫌いかが解る。


「イギリスって…美味しいもの無いね」

 ナミの口に合う食べ物が無く、ひたすらピザを食べていた。

「あのさ~、どうでピザ食べるんならイタリア行こう」


 イギリスからイタリアへ…脈略の無い旅を楽しんだ。

 サクラは大変そうだったが…

「イタリアですか…イギリスから…」


 ヴェニスで河を渡って、沈みゆく街を眺める。

「なんで水の中に建物、建てたの?おかしくない?難しいよね?」

「沈んでいるんだよ…昔から今も…だからいずれ沈んでしまうんだ」

「え~、大変じゃん」


 ローマでコロッセオを見たが感想は

「なんか、つまんないね、アトラクション的なの無いんだもん」

「歴史的建造物ですから…アトラクションは…」

「昔は船を浮かべて海戦を再現できたらしいよ」

「ウソだ~、海ないじゃん」

「運んだんだよ水をさ」

「信じらんない」


 本場のジェラートが一番お気に召したようだ。

「コレ美味い…チェリー味?美味い」


 そして帰国した。


「ナミさん、詳しくはお話できませんが、ぜひ研究所へ来てください」

 サクラが別れ際にナミに話していた。

「う~ん、もう少し考えてみる」


「うん…次に逢うときに返事聞かせて」

 黙ってコクリと頷き、送迎の車に乗って行った。

 沢山、お土産を持って。


「多少、強引にでも…」

「それは良くないよサクラ…僕のせいなんだから…そんなことは強制できない」

「しかし…」

「ナミが、嫌だと言えば、もう…彼女には逢わないさ、そうすれば元に戻れるんだから彼女は」

「はい…そうですけど」







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