第90話 揚眉吐気 ようびとき

 ホテルに戻り、シャワーを浴びる。

 ナミも入ってきた。

「なんかさーアメリカのシャンプーとか身体に悪そうじゃない?」

「なんで?」

「意味は無いけど…なんとなく、こう強力そうというか…髪がキスキスしそうというか…」

 僕はナミを後ろから抱きしめた。

「楽しいね…毎日、こんなだといいね」

「うん…ナミ…仕事辞めないか?」

「仕事?風俗のこと?辞めれないよ…お金いるし」

「お金は大丈夫…僕の働いている研究所へ来ないか?」

「無理だよ、アタシ、バカだもん」

「嫌か?」

「嫌とか考えられないよ、アタシみたいなバカが務めても稼げるわけないじゃん」

「僕の世話係でいいんだ」

「ユキヤの?他になにもできなくていいの?アタシ、ラーメンも作れないんだよ」

「ハハハ…いいんだ、部屋掃除とか、資料の整理とか…雑用係みたいなもんだけど」

「ふぅん…解んないけど…退屈そう」

「風俗の方がいい?」

「いいわけないじゃん…辞めたいけどさ…辞めさせてくれないよ」

「大丈夫だよ…お金は研究所が払うから、身元が割れるものも処分させる」

「なにそれ?悪い組織みたいじゃん」

「悪い組織か…そうかもな…」

「考えておくよ」

「この旅行の間に答が聞きたい」

「う~ん、解った…けど…なんか怖いよ」

「僕もサクラもいるよ」

「うん…サクラも…一緒なの?」

「サクラのサポートってことにすればいい」

「うん…サクラ怖くない?」

「怖くないよ…今のままさ…たまに、こうして旅行してさ3人で…」

「サクラ恋人いないの?」

「さぁね…」

「サクラ美人なのにね」

「そうだね」

「ナミのほうが好き?」

「ナミが好きだよ…ずっと一緒にいたいと思う」

「うん」


 窓から見える、お城の灯りはとても綺麗で…今が現実ではないと思わせるほどに、怖いくらいに、とても綺麗で…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る